「誰でも」「簡単に」「効率よく」モデルラットを作出できる技術を開発

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本多新 医学研究科 特定准教授と浅野雅秀 同教授らの研究グループは、「誰でも」「簡単に」「効率よく」モデルラットを作出できる技術開発に成功しました。

まずラットに投与するホルモンの組み合わせを工夫して、試した全てのラット系統で高効率な(最大約19倍)過排卵を実現しました。次に、それらの卵子で体外受精法の開発を行いました。これまで複数の研究グループがラットでの体外受精に成功していますが、実際は再現が非常に困難でほとんど普及していませんでした。本研究グループはラットから卵を取り出す方法を工夫することで、再現よく体外受精が成功することを発見しました。

さらに、それら体外受精卵子を使って遺伝子破壊(KO)を行ったところ、その全て(100%)の個体で遺伝子が完全に破壊されていました。最後にウイルスベクターを用いた簡便な遺伝子置換(KI)を行ったところ、やはり非常に高効率(33から47%)に達成できることを発見しました。特に本研究で用いられている遺伝子改変法は、高額な器機を必要とせず、わずかなトレーニングで習得できる技術を活用していることから、「誰でも」「簡単に」「効率よく」モデルラットの作出を可能にするものと言えます。

今後は本技術を研修により積極的に普及する予定です。日本はiPS細胞などを利用して異種の臓器を作出するような研究でも世界をリードしており、今回開発された一連の技術が再生医療や絶滅危惧種の保存などにも貢献することが期待されます。

本研究成果は、2019年8月9日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-019-47964-1

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/243553

Arata Honda, Ryoma Tachibana, Kazuya Hamada, Kohtaro Morita, Naoaki Mizuno, Kento Morita & Masahide Asano (2019). Efficient derivation of knock-out and knock-in rats using embryos obtained by in vitro fertilization. Scientific Reports, 9:11571.

  • 産経新聞(8月10日 22面)および日刊工業新聞(8月29日 23面)に掲載されました。