交尾器の進化で種が多様化することを示唆 -ゲノム研究で分かった隠れた種分化の仕組み-

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藤澤知親 理学研究科 研究員(現・滋賀大学助教)、雀部正毅 同博士後期課程学生(現・理化学研究所職員)、曽田貞滋 同教授、長太伸章 国立科学博物館 研究員、高見泰興 神戸大学 准教授らの研究グループは、日本固有のオサムシ類、オオオサムシ亜属において、全ゲノム配列の解析を行い、雌雄の交尾器の多様化による急速な種分化が、交尾器形態に関係する限られたゲノム領域の変化で起こっていることを示しました。

昆虫をはじめとする節足動物、哺乳類や鳥類を含む多くの体内受精をする動物では、外見のよく似た近縁種の間で交尾器の形が明らかに異なることが知られています。交尾器形態の進化自体は、主に集団内の性選択によって引き起こされると考えられますが、交尾器形態の進化が種の多様化に直接結びつくことを明確に示した研究はありませんでした。

本研究成果は、環境適応とは無関係に起こる交尾器の進化が種の多様化を主導する要因となりうることをゲノム解析によって示した点で注目され、種の多様性に関する新たな理解をもたらすことが期待されます。

本研究成果は、2019年6月27日に、国際学術誌「Science Advances」のオンライン版に掲載されました。

図:オオオサムシ亜属をゲノム解析した結果、交尾器の多様化によって種が多様化したことが示唆された

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1126/sciadv.aav9939

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/242837

Tomochika Fujisawa, Masataka Sasabe, Nobuaki Nagata, Yasuoki Takami and Teiji Sota (2019). Genetic basis of species-specific genitalia reveals role in species diversification. Science Advances, 5(6):eaav9939.