骨髄移植における造血幹細胞の生着にはガラクトース糖鎖が必須であることを解明

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浅野雅秀 医学研究科 教授、 山下莉映子 修士課程学生(研究当時) 、岡昌吾 同教授、宮西正憲 理化学研究所 研究員らの研究グループは、骨髄移植後の造血幹細胞(HSC)の骨髄へのホーミングと生着に、ガラクトース糖鎖が重要な役割を果たしていることを明らかにしました。

哺乳類は糖鎖の末端にガラクトースを転移する酵素を多数持っていますが、そのうちのβ4GalT-1遺伝子を欠損させたマウスを用いて、骨髄移植の研究を行いました。β4GalT-1欠損マウスから調製した骨髄細胞は、十分量を移植しても致死的な放射線を照射したレシピエント(受容)マウスの生存を維持することができず、移植24時間後のレシピエントマウスの骨髄には、移植したβ4GalT-1欠損マウスの骨髄細胞はほとんど生着していませんでした。

本研究成果はHSC表面の糖鎖を人工的に修飾することで、骨髄移植の効率を増強できる可能性を示しており、臨床応用につながることが期待されます。

本研究成果は、2019年5月9日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-019-43551-6

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/241384

Soichiro Takagaki, Rieko Yamashita, Noriyoshi Hashimoto, Kazushi Sugihara, Kanako Kanari, Keisuke Tabata, Toshikazu Nishie, Shogo Oka, Masanori Miyanishi, Chie Naruse & Masahide Asano (2019). Galactosyl carbohydrate residues on hematopoietic stem/progenitor cells are essential for homing and engraftment to the bone marrow. Scientific Reports, 9:7133.