精子形態異常を伴う不妊マウスの原因を解明 -プロタミン分子の56番セリンの脱燐酸化は精子の成熟に重要-

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伊藤克彦 医学部附属病院准教授、近藤玄 ウイルス・再生医科学研究所教授、宮地均 同技術専門員、菅井学 福井大学教授、千葉大学らの研究グループは、精子の成熟にプロタミン分子の脱燐酸化が重要である事を見出しました。

体細胞では、遺伝子の糸を巻き取る「糸車」であるヒストン蛋白が、燐酸化などの修飾を受けて機能します。一方、精子細胞では、形態変化の過程でヒストンがプロタミンに置き換わります。このプロタミンの燐酸化は知られていましたが、その意義は不明でした。

本研究グループは、細胞内の分子を折り畳むシャペロン(Hspa4l)を欠損したマウスが、脱燐酸化酵素(Ppp1cc)を欠損したマウスと同様、精子の形態異常・不妊を示す事に注目して、その機序の解明を目指しました。研究の結果、プロタミン(Protamine 2)の56番目のアミノ酸の脱燐酸化が、精子の成熟に重要であることを見出しました。

本研究成果は、修飾を受けたヒストンと同様に、プロタミンも修飾を受けて機能する事を示す一方で、このマウスに似たヒトの男性不妊症の原因を解明し、治療研究の進展につながるものと考えられます。

本研究成果は、2019年3月27日に、国際学術誌「Science Signaling」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1126/scisignal.aao7232

Katsuhiko Itoh, Gen Kondoh, Hitoshi Miyachi, Manabu Sugai, Yoshiyuki Kaneko, Satsuki Kitano, Hitomi Watanabe, Ryota Maeda, Akihiro Imura, Yu Liu, Chizuru Ito, Shigeyoshi Itohara, Kiyotaka Toshimori, and Jun Fujita (2019). Dephosphorylation of protamine 2 at serine 56 is crucial for murine sperm maturation in vivo. Science Signaling, 12(574):eaao7232.

  • 朝日新聞(3月28日夕刊 13面)に掲載されました。