オートファジーに必要なAtg分子間の共有結合を失う縮小進化を発見しました

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阪井康能 農学研究科教授、奥公秀 同助教、水島昇 東京大学教授、Honglin Jia 中国農業科学院准教授、野田展生 微生物化学研究会部長、北潔 長崎大学教授らの研究グループは、コマガタエラ属酵母や、マラリア原虫・トキソプラズマのような寄生虫では、Atg12-Atg5の共有結合、さらにその共有結合の形成に必要なATG10遺伝子や Atg12のC末端のグリシン残基をゲノムから失う縮小進化が起こっていることを発見しました。

オートファジーは、液胞/リソソームで、細胞内のオルガネラ(細胞小器官)や細胞質タンパク質を分解するシステムです。オートファジー分子(Atg分子)の中でもユビキチン様タンパク質であるAtg12とAtg5の共有結合システムとAtg8の脂質化反応は重要な分子メカニズムです。

本研究成果により、今後、オートファジーの微妙な制御によるタンパク質生産の効率化や寄生虫症をコントロールするための新しいターゲットとなることが期待されます。

本研究成果は、2019年3月25日に、国際学術誌 「Nature Structural and Molecular Biology」 のオンライン版に掲載されました。

図:縮小進化によるAtg12-Atg5共有結合の喪失

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41594-019-0204-3

Yu Pang, Hayashi Yamamoto, Hirokazu Sakamoto, Masahide Oku, Joe Kimanthi Mutungi, Mayurbhai Himatbhai Sahani, Yoshitaka Kurikawa, Kiyoshi Kita, Nobuo N. Noda, Yasuyoshi Sakai, Honglin Jia& Noboru Mizushima (2019). Evolution from covalent conjugation to non-covalent interaction in the ubiquitin-like ATG12 system. Nature Structural & Molecular Biology, 26(4), 289-296.