先端メタボロミクスで絶食による代謝活性化を解明 -長期飢餓による健康・寿命効果の仕組みの理解に貢献-

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柳田充弘 名誉教授(沖縄科学技術大学院大学教授)、近藤祥司 医学部附属病院准教授、照屋貴之 沖縄科学技術大学院大学博士らの研究グループは、生きている細胞が合成・代謝する小さなメタボライト(低分子代謝物)を、質量分析器により網羅的計測する最先端技術「メタボロミクス」を用いた、網羅的ヒト血液代謝物解析により、4人の若者での58時間絶食の代謝影響を検証しました。

本研究では、約3日間の絶食により、120個以上のメタボライトの中で、3分の1以上の44個の上昇が観察されました。その中には、従来知られていたエネルギー補給関連代謝(カルニチン、ケトン体や分岐鎖アミノ酸)の活性化以外に、抗酸化物質上昇、ミトコンドリア活性化、プリン・ピリミジンを含むシグナル伝達系活性化など、多彩な代謝活性化が判明しました。また、これらの中には、本研究グループが2016年に報告した老化マーカーと呼べる老化で減少するものも含まれていました。

本研究成果は、今まで知られていなかった、飢餓による若返り効果の可能性を示唆するものと考えられ、今後のさらなる検証が待たれます。

本研究成果は、2019年1月29日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-018-36674-9

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/236126

Takayuki Teruya, Romanas Chaleckis, Junko Takada, Mitsuhiro Yanagida & Hiroshi Kondoh (2019). Diverse metabolic reactions activated during 58-hr fasting are revealed by non-targeted metabolomic analysis of human blood. Scientific Reports, 9:854.