極超新星に付随する超高速成分を発見 -極超新星が光速ジェットにより引き起こされることを実証-

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前田啓一 理学研究科准教授、Luca Izzo スペイン・アンダルシア天体物理学研究所博士、Antonio de Ugarte Postigo 同博士らの研究グループは、ガンマ線バースト GRB 171205Aを引きおこした極超新星 SN 2017iukに光の速度の30%にも達する超高速成分が付随したことを発見しました。

本研究グループは、スペインの10メートル・カナリア大望遠鏡(GTC)、南ヨーロッパ天文台がチリに所有する8メートル・超大型望遠鏡(VLT)を用いて、GRB 171205Aの発見直後からの追観測を行い、爆発当初から極超新星由来の可視放射が発生していること、最初の数日間に確認されたスペクトルがこれまで知られていた極超新星とは大きく異なることを発見しました。

このスペクトルの理論解析の結果、極超新星には光速の30%以上に達する高速成分が付随すること、同時にこれが爆発の際に作られた鉄などの重い元素に満たされていることがわかりました。これは、極超新星が光速に近いジェットにより引き起こされる重い星の爆発であり、このジェットが十分に減速されずに星を突き抜けた場合にガンマ線バーストが発生するという理論を支持します。

本研究成果により、ガンマ線バーストと極超新星の爆発機構の理解が大きく進展するとともに、爆発天体現象を理解する上での爆発直後からの観測の重要性が示されました。

本研究成果は、2019年1月17日に、国際学術誌「Nature」のオンライン版に掲載されました。

図:ガンマ線バーストと極超新星の想像図(提供:Anna Serena Esposito)

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41586-018-0826-3

L. Izzo, A. de Ugarte Postigo, K. Maeda, C. C. Thöne, D. A. Kann, M. Della Valle, A. Sagues Carracedo, M. J. Michałowski, P. Schady, S. Schmidl, J. Selsing, R. L. C. Starling, A. Suzuki, K. Bensch, J. Bolmer, S. Campana, Z. Cano, S. Covino, J. P. U. Fynbo, D. H. Hartmann, K. E. Heintz, J. Hjorth, J. Japelj, K. Kamiński, L. Kaper, C. Kouveliotou, M. Krużyński, T. Kwiatkowski, G. Leloudas, A. J. Levan, D. B. Malesani, T. Michałowski, S. Piranomonte, G. Pugliese, A. Rossi, R. Sánchez-Ramírez, S. Schulze, D. Steeghs, N. R. Tanvir, K. Ulaczyk, S. D. Vergani & K. Wiersema (2019). Signatures of a jet cocoon in early spectra of a supernova associated with a γ-ray burst. Nature, 565(7739), 324-327.

  • 読売新聞(2月15日 29面)に掲載されました。