研究成果

広範囲の植物病原糸状菌が分泌する感染因子の機能を解明 -エフェクターNIS1は植物の病原体認識システムの中枢を攻撃する-


2019年01月08日


     高野義孝 農学研究科教授、井上喜博 同博士研究員、入枝泰樹 信州大学助教(文部科学省卓越研究員)、森正之 石川県立大学准教授らの研究グループは、広範囲の植物病原糸状菌が分泌する感染因子の機能を解明しました。

     病害による世界の農業生産被害の80%以上は、糸状菌(カビ・菌類)によって引き起こされています。この植物病原菌は、宿主の植物に感染する時に「エフェクター」と呼ばれるさまざまなタンパク質を分泌し、宿主が本来発揮すべき防御反応を抑制していることが分かっています。しかし、どのエフェクターが重要な役割を果たすのかは不明なままでした。

     本研究グループは、広範囲の植物病原糸状菌が共通してもっているエフェクター「NIS1」が、植物の病原体認識機構の中枢を攻撃していることを発見しました。さらに、イネいもち病菌においては、NIS1の喪失によって病原性が劇的に低下することも確認できました。本研究を基盤として、広範な植物病原菌に効果があり、かつその感染戦略のみをブロックできる新規農薬の開発につながることが期待されます。

     本研究成果は、2018年12月24日に、国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」のオンライン版に掲載されました。

     

    図:植物病原糸状菌のエフェクターNIS1は、植物の病原体認識機構の中枢を攻撃する。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.1073/pnas.1807297116

    【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/235959

    Hiroki Irieda, Yoshihiro Inoue, Masashi Mori, Kohji Yamada, Yuu Oshikawa, Hiromasa Saitoh, Aiko Uemura, Ryohei Terauchi, Saeko Kitakura, Ayumi Kosaka, Suthitar Singkaravanit-Ogawa, and Yoshitaka Takano (2018). Conserved fungal effector suppresses PAMP-triggered immunity by targeting plant immune kinases. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.

    • 京都新聞(12月31日 22面)に掲載されました。

    広範囲の植物病原糸状菌が分泌する感染因子の機能を解明 -エフェクターNIS1は植物の病原体認識システムの中枢を攻撃する-
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