新たなフォトニック結晶構造を用いて半導体レーザーの高輝度化に成功 -来たるべき超スマート社会におけるスマート製造やスマートモビリティに貢献-

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野田進 工学研究科教授、吉田昌宏 同博士課程学生、メーナカ・デ・ゾイサ 同講師、石崎賢司 同助教、河崎正人 三菱電機株式会社研究員らの研究グループは、独自の「2重格子フォトニック結晶」共振器を用いて、半導体レーザーの高輝度化(=高出力・高ビーム品質動作)に成功しました。

来たるべき超スマート社会(Society 5.0)においては、スマートモビリティ(自動車やロボットの自動運転)やスマート製造の核となる高度センシングや光加工のための、高輝度半導体レーザーが必要とされています。しかし、従来の半導体レーザーは、高輝度化のため、光出射面積を増大し高出力化を図ろうとすると、ビーム品質が劣化し、逆に輝度が低下するという問題がありました。

本研究グループは、光出射面積を従来の半導体レーザーの10,000倍以上大きくしてもビーム品質の劣化がない、新たなフォトニック結晶構造「2重格子フォトニック結晶」を考案し、10W級の高出力でありながら、ビーム拡がり角が極めて狭く(0.3˚未満)、極めて高いビーム品質(M 2 ~2)を達成し、高安定・高輝度動作に初めて成功しました。本研究成果は、フォトニック結晶レーザーが今後の超スマート社会を支える光源として極めて有望であることを示すものです。

本研究成果は、2018年12月18日、国際学術誌「Nature Materials」のオンライン版に掲載されました。

図:フォトニック結晶レーザーと「2重格子フォトニック結晶」共振器の模式図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41563-018-0242-y

Masahiro Yoshida, Menaka De Zoysa, Kenji Ishizaki, Yoshinori Tanaka, Masato Kawasaki, Ranko Hatsuda, Bongshik Song, John Gelleta & Susumu Noda (2018). Double-lattice photonic-crystal resonators enabling high-brightness semiconductor lasers with symmetric narrow-divergence beams. Nature Materials, 18(2), 121-128.

  • 朝日新聞(1月10日 21面)、京都新聞(12月18日 20面)、日刊工業新聞(12月18日 21面)、読売新聞(12月23日 31面)、科学新聞(12月21日 4面)および産経ニュース(1月5日)に掲載されました。