研究成果

福島第一原発事故後の安定ヨウ素剤配布後の実態調査を実施 -安定ヨウ素剤の情報提供・内服指示に関する課題が浮き彫りに-


2019年01月10日


     中山健夫 医学研究科教授、高橋由光 同准教授、西川佳孝 同博士課程学生らの研究グループは、ひらた中央病院(福島県)、福島県立医科大学と共同で、福島第一原発事故後の三春町(福島県田村郡)の小児における安定ヨウ素剤配布後の内服実態調査を実施しました。

     安定ヨウ素剤の内服は、避難・屋内退避・放射能汚染した食物の摂取防止と並び、放射線災害後の放射性ヨウ素による内部被曝を避けるための重要な予防行動の1つです。三春町の尽力により、40歳未満または妊婦のいる配布対象世帯の94.9%に安定ヨウ素剤は配布されました。

     2017年小児甲状腺検診受診者(震災当時0歳から9歳で三春町民)のうち、内服したのは63.5%でした。0–2歳の小児では、3歳以上と比べて安定ヨウ素剤を内服していない傾向で、保護者が内服している場合、子も内服している傾向でした。内服しなかった理由の中で、安全性への不安が最多(46.7%)でした。内服しなかった理由の自由回答欄から、配布、安定ヨウ素剤の効果・副作用の情報提供、内服指示に関する課題が浮かび上がりました。

     放射線災害後の安定ヨウ素剤の内服の実態に関するエビデンスは少なく、本研究成果は国際的に貴重なものと考えられます。今後の放射線災害対策として、保護者と子供に安定ヨウ素剤の効果・副作用、配布方法、内服指示(特に乳幼児の内服)について十分に説明しておくことが望ましいと考えられます。

     本研究成果は、2018年12月10日に、国際学術誌「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」のオンライン版に掲載されました。

     

    図:安定ヨウ素剤(提供:西川佳孝)

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.1210/jc.2018-02136

    Yoshitaka Nishikawa, Ayako Kohno, Yoshimitsu Takahashi, Chiaki Suzuki, Hirokatsu Kinoshita, Takeo Nakayama, Masaharu Tsubokura (2018). Stable Iodine Distribution among Children after the 2011 Fukushima Nuclear Disaster in Japan: An Observational Study. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 104(5), 1658-1666.


    福島第一原発事故後の安定ヨウ素剤配布後の実態調査を実施 -安定ヨウ素剤の情報提供・内服指示に関する課題が浮き彫りに-
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