研究成果

バイオマスから油脂を生産する新種の酵母を発見 -油脂製造プロセスの効率化と低炭素社会の実現に貢献-


2018年10月01日


     谷村あゆみ 農学研究科特定研究員、高島昌子 理化学研究所ユニットリーダー、大熊盛也 同室長、杉田隆 明治薬科大学教授、島純 龍谷大学教授らの研究グループは、バイオマス(生物資源)由来の発酵原料糖の主成分を成す2種類の糖から、効率良く油脂を生産する新種の酵母を発見しました。

     本研究成果は、2018年9月13日に、米国の国際科学誌「PLOS ONE」のオンライン版に掲載されました。

    研究者からのコメント

     日本には、新種の酵母がまだまだたくさん存在していると思っています。その中には、ある物質を生産、あるいは分解するなどのおもしろい性状を持った菌株も含まれているでしょう。酵母の自然界からの分離や性状の解明の方法を、さらに工夫して、これまでにない菌株を見出し、低炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。

    概要

     油脂は食品、医薬品、化成品の原料となることから、化学工業における基幹物質の一つです。現在、油脂の多くは石油から化学的に合成されていますが、温室効果ガス抑制の観点から、酵母などの生物を用いた新たな油脂生産プロセスの開発が求められています。

     本研究グループは、沖縄県西表島などの植物と土壌から分離した酵母から、バイオマス由来の発酵原料糖であるグルコースとキシロースをほぼ同時に取り込み「グルコース抑制」がない、油脂を効率良く生産する酵母3株を発見しました。系統解析や分類学的研究の結果、この酵母はCystobasidium属に属する新種であることが示され、「Cystobasidium iriomotense」と命名されました。

     本研究成果により、油脂製造において石油からバイオマスへの原料の転換を進め、製造プロセスの効率化による消費エネルギーの削減に向けた研究を促進することで、低炭素社会の実現に貢献することが期待されます。

    図:今回発見したグルコース抑制のない酵母。「Cystobasidium iriomotense」JCM 24594 (左)、およびJCM 24575(右)

     

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.1371/journal.pone.0202164

    【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/234647

    Ayumi Tanimura, Takashi Sugita, Rikiya Endoh, Moriya Ohkuma, Shigenobu Kishino, Jun Ogawa, Jun Shima, Masako Takashima (2018). Lipid production via simultaneous conversion of glucose and xylose by a novel yeast, Cystobasidium iriomotense. PLOS ONE, 13(9):e0202164.


    バイオマスから油脂を生産する新種の酵母を発見 -油脂製造プロセスの効率化と低炭素社会の実現に貢献-
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