研究成果

希少放線菌が産生する新規抗がん剤リードを開発 -2-アミノフェノールを利用したプロドラッグ型抗がん剤の開発に期待-


2018年07月25日


     掛谷秀昭 薬学研究科教授、Shan Lu同研究員らの研究グループは、希少放線菌サッカロスリックス属A1506 株が産生するサッカロスリオリドBおよびその前駆体を見出し、両化合物の抗がん剤リードとしての可能性を明らかにしました。さらに、サッカロスリオリドB に含まれる2-アミノフェノールが、α,β-不飽和カルボニル基を有する医薬品のプロドラッグ型保護基として利用できる可能性を示しました。

     本研究成果は、2018年7月19日に米国化学会誌「Organic Letters」のオンライン版に掲載されました。

    研究者からのコメント

     サッカロスリオリドBを発見後、推定生合成経路より前駆体の存在を予測していましたが、さまざまな実験条件の工夫の結果、前駆体の単離・精製及び構造決定に成功しました。さらに、両者の作用機序解析を通じて、2-アミノフェノールが医薬品のプロドラッグ型保護基として利用できる可能性を示すという幸運に恵まれました。今後、これらの知見を活かして、新しい抗がん剤の開発に取り組みます。

    概要

     本研究グループは、天然資源を対象とした新規抗がん剤リードの探索研究過程で、希少放線菌に着目し、希少放線菌サッカロスリックス属A1506株が新規10員環マクロリド構造を有するサッカロスリオリド類を産生し、サッカロスリオリドBがヒト線維肉腫細胞HT1080および分裂酵母に対して増殖抑制効果を示すことを明らかにしました。

     また、同菌の代謝物解析(メタボローム解析)の結果、サッカロスリオリドBの活性前駆体を見出し、その化学構造を解明しました。一方で、サッカロスリオリドBは生理的条件下で、2-アミノフェノールが遊離し活性前駆体に変換され、生体内で代謝され活性代謝物となる薬剤「プロドラッグ」として働く可能性を示しました。

     本研究成果は、特異な化学構造を有するサッカロスリオリドBおよび活性前駆体が抗がん剤リードになりうること、サッカロスリオリドBに含まれる2-アミノフェノールが医薬品のプロドラッグ型保護基として利用できることなどを示し、新しい抗がん剤の開発に有用な知見を与えることが期待されます。

    図:サッカロスリオリドBおよび前駆体の化学構造

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】
    https://doi.org/10.1021/acs.orglett.8b01535

    Shan Lu, Shinichi Nishimura, Kei Takenaka, Masashi Ito, Taira Kato, and Hideaki Kakeya (2018). Discovery of Presaccharothriolide X, a Retro-Michael Reaction Product of Saccharothriolide B, from the Rare Actinomycete Saccharothrix sp.A1506. Organic Letters, 20(15), 4406-4410.


    希少放線菌が産生する新規抗がん剤リードを開発 -2-アミノフェノールを利用したプロドラッグ型抗がん剤の開発に期待-
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