研究成果

野生のニホンザルがどのような腸内細菌を持っているかを明らかにしました


2018年07月23日


     早川卓志 霊長類研究所特定助教、半谷吾郎 同准教授、澤田晶子 日本学術振興会特別研究員(中部大学)、阿形清和 学習院大学教授らの研究グループは、ニホンザルの糞便のDNAを分析し、野生のニホンザルがどのような腸内細菌を持っているかを明らかにしました。

     本研究成果は、2018年6月25日に国際学術誌「Primates」のオンライン版に掲載されました。

    研究者からのコメント

     ニホンザルは私たち日本人にとって最も身近な野生の霊長類です。次世代シークエンサーという新しい技術をもちいて、野生のニホンザルがどんな腸内細菌叢を持っているかを知ることができました。日本の多様な自然に暮らし、ときに人里に現れるようなニホンザルたちが、どのような腸内細菌を持って生活しているのか、詳しく調べる今後の研究につなげていきます。

     今回の研究は、10年にわたり続く京都大学の「屋久島フィールド実習」の成果です。国内の大学院生・研究者だけでなく、海外の留学生たちとともに、屋久島の森の中を歩き、サルを追い、サンプルを大学のラボに持ち帰って一緒に解析したことが、学術論文の形で実を結びました。フィールドワークとラボワークの双方が融合した学際的な研究の歴史を刻む一歩となればと考えています。

    概要

     本研究グループは、野生のニホンザルの糞便のDNAを分析し、その腸内細菌を明らかにしました。また、実験施設(ラボ)から遠く離れた森林でのフィールドワークにおいて、どのように野生動物の糞便を集め、腸内細菌のDNAを保存し、ラボまで持ち運んで分析するかという手法を確立しました。

     本手法は、本学の大学院生や留学生を対象に実施している「屋久島フィールド・ゲノム科学実習」で実践され、今後、フィールドワークとラボワークが融合した研究の現場で使われることが期待されます。

     また、本研究成果により、日本特有の四季によって変化する森の食べ物にどのようにニホンザルの腸内細菌が適応しているのかなど、今後、より詳細なニホンザルの腸内細菌の研究の発展が期待されます。

    写真:ヤマモモの果実を食べる5月の屋久島のニホンザル。野生のニホンザルがどのような腸内細菌をもちいて、森の食べ物を消化しているのかを、本研究では明らかにした。(写真提供:早川卓志)

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】
    https://doi.org/10.1007/s10329-018-0671-x

    Takashi Hayakawa, Akiko Sawada, Akifumi S. Tanabe, Shinji Fukuda, Takushi Kishida, Yosuke Kurihara, Kei Matsushima, Jie Liu, Etienne-Francois Akomo-Okoue, Waleska Gravena, Makoto Kashima, Mariko Suzuki, Kohmei Kadowaki, Takafumi Suzumura, Eiji Inoue, Hideki Sugiura, Goro Hanya, Kiyokazu Agata (2018). Improving the standards for gut microbiome analysis of fecal samples: insights from the field biology of Japanese macaques on Yakushima Island. Primates, 59(5), 423-436.

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