研究成果

体内リズムの24時間周期を決めるタンパク質を発見-家族性睡眠相前進症候群(FASPS)の分子機構の解明-


2018年05月23日


     Jean-Michel Fustin 薬学研究科特定講師、岡村均 名誉教授(薬学研究科特任教授)と、理化学研究所、千葉大学、大阪大学、デュークNUS医学大学院(シンガポール)らの研究グループは、一つの遺伝子Ck1dから生み出される、正反対の機能を持つ新旧2つの酵素Ck1d1とCk1d2が、時計タンパク質PERを安定させることを明らかにしました。

     本研究成果は、2018年5月22日に、国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載されました。

    研究者からのコメント

    左から、岡村特任教授、Fustin特定講師

     タンパク質Ck1d2の発見はまったく予想外でした。重要な発見は、思わぬところから現れるものです。ひとつの遺伝子からCk1d1とCk1d2という正反対の機能を持ったタンパク質が生み出され、絶妙なバランスで私たちの体内時計のリズム(概日リズム)を制御しているメカニズムには本当に驚かされます。今回の研究成果が、FASPSのような概日リズムの乱れによる病気を治療するきっかけになることを期待しています。

    概要

     本研究グループは、一つの遺伝子Ck1dからまるでジキルとハイドのように生み出される、正反対の機能を持つ新旧2つの酵素Ck1d1とCk1d2が、時計タンパク質PERを安定させることを明らかにしました。体内時計の24時間という周期は、この2つの酵素のバランスによって決まっていたのです。今回の発見は、遺伝性の家族性睡眠相前進症候群(Familial Advanced Sleep Phase Syndrome:FASPS)の病態を世界で初めて解明したもので、睡眠リズムの研究に突破口を開いたものと期待されます。

    図:概日リズム(サーカディアンリズム:体内リズム)の周期はCk1d1過剰で短縮、Ck1d2過剰で延長する。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.1073/pnas.1721371115

    【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/231231

    Jean-Michel Fustin, Rika Kojima, Kakeru Itoh, Hsin-Yi Chang, Ye Shiqi, Bowen Zhuang, Asami Oji, Shingo Gibo, Rajesh Narasimamurthy, David Virshup, Gen Kurosawa, Masao Doi, Ichiro Manabe, Yasushi Ishihama, Masahito Ikawa, Hitoshi Okamura (2018). Two Ck1δ transcripts regulated by m6A methylation code for two antagonistic kinases in the control of the circadian clock. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(23), 5980-5985.

    • 京都新聞(5月22日 25面)、日刊工業新聞(5月22日 23面)、毎日新聞(5月22日 26面)および読売新聞(5月22日 31面)に掲載されました。

    体内リズムの24時間周期を決めるタンパク質を発見-家族性睡眠相前進症候群(FASPS)の分子機構の解明-
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