研究成果

月の地下に大量の氷が埋蔵されている可能性 -月隕石から氷の痕跡である「モガナイト」を発見、月で利用可能な水資源に期待-


2018年05月09日


     三宅亮 理学研究科准教授、鹿山雅裕 東北大学助教と、海洋研究開発機構、神戸大学、広島大学、高輝度光科学研究センターなどの研究グループは、月隕石から「モガナイト」と呼ばれる、生成に水が不可欠な鉱物を発見し、これが月の地下に眠る氷の痕跡であることを突き止めました。

     本研究の成果は、2018年5月3日に米国科学誌「Science Advances」にオンライン公開されました。

    研究者からのコメント

     月の水や氷は、科学目的だけに留まらず、人類が月面で活動するために欠かせない貴重な水資源でもあります。そのため、水資源の獲得と現地での資源利用を目的とした月の無人・有人探査が各国で計画されており、その機運が近年急速に高まっています。日本も将来的にこのミッションに参画することを現在検討しています。しかし、月の水や氷に関する科学データはまだまだ少なく、特に今回のような月の岩石を対象とした水の探索に関する報告例は未だ乏しいのが現状です。

     したがって、今後の展望として、未調査の月隕石やアポロ・ルナ計画で回収された月の試料に対して微小部分析を行い、そこから水や氷の痕跡を探る研究を予定しています。これにより、月の水や氷に関するさらなる事実の解明が期待され、現在検討されている月の探査計画の推進に繋がる科学データを取得することが可能となります。

    本研究成果のポイント 

    • 月隕石から水が蒸発することで生成される「モガナイト」と呼ばれる鉱物を初めて発見
    • モガナイトの生成には水が不可欠であるため、地球にしか存在しないと考えられていた
    • 太陽光が当たる表面では月の水はすぐに蒸発、低温である月の地下には氷として現存
    • 氷の埋蔵量は岩石1 m3あたり18.8リットル、月で人類が利用できる水資源として期待

    概要

     水が関与してできるモガナイトは、地球には広く産するものの、地球以外の天体では存在しないというのが定説でした。しかし、本研究で13種類の月隕石を対象に分析を行ったところ、NWA 2727と呼ばれる月隕石からモガナイトを発見しました。

     本研究の成果から、モガナイトの成因となる月の水は、水を豊富に含む天体が月のプロセラルム盆地(ウサギにみえる影模様)に衝突することで供給されたことが分かりました。

     また、月の水は太陽光で熱せられた表面では蒸発してモガナイトを作りますが、低温である地下数mでは氷として残ると考えられ、その氷の埋蔵量は岩石1 m3あたり少なくとも18.8リットルにも達することから、月の地下に大量の氷が眠っている可能性が示されました。これは人類が月に居住する上で欠かすことのできない貴重な水資源(飲料水や水素燃料)であり、現在検討中の月探査計画でその詳細を明らかにすることが望まれます。

    図:月の水は、太陽光で熱せられた表面では蒸発してモガナイトを作り、地下には氷として残る。(illustrated by M. Sasaoka (SASAMI-GEO-SCIENCE))

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.1126/sciadv.aar4378

    【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/231031

    Masahiro Kayama, Naotaka Tomioka, Eiji Ohtani, Yusuke Seto, Hiroshi Nagaoka, Jens Götze, Akira Miyake, Shin Ozawa, Toshimori Sekine, Masaaki Miyahara, Kazushige Tomeoka, Megumi Matsumoto, Naoki Shoda, Naohisa Hirao and Takamichi Kobayashi (2018). Discovery of moganite in a lunar meteorite as a trace of H2O ice in the Moon’s regolith. Science Advances, 4(5), eaar4378.


    月の地下に大量の氷が埋蔵されている可能性 -月隕石から氷の痕跡である「モガナイト」を発見、月で利用可能な水資源に期待-
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