ガスを吸って形状を記憶する柔らかい多孔質結晶の合成に成功しました

ターゲット
公開日

北川進 高等研究院物質-細胞統合システム拠点( iCeMS = アイセムス)拠点長らの研究グループは、アイルランドおよび米国の研究グループと共同で、二酸化炭素や一酸化炭素を吸収して形を変え、さらにその形状を記憶する柔らかい多孔質結晶の開発に成功しました。

本研究成果は、 2018 4 28 日に米科学誌「 Science Advances 」オンライン版で公開されました。

研究者からのコメント

これまで謎が多かった形状記憶結晶のメカニズムが解明されたことで、同様の性質を示すさまざまな素材の開発につながります。 また、二酸化炭素を始めとするさまざまなガスの分離や、貯蔵と言った難しい問題を解決する新素材への応用が期待されます。

概要

一度覚え込ませた形状を保ち続ける材料を形状記憶材料と呼びます。このような形状記憶材料は、加熱などの処理をしない限りその形状を記憶し続けることから、メガネのフレームや医療材料といった様々な用途で幅広く社会で利用されています。このような形状記憶現象を示す材料は、例えば金属の合金などが一般的に知られています。本研究は、ガス分子を吸着して形状記憶現象を示すという新たな多孔質結晶の合成に成功し、その記憶メカニズムを初めて明らかにしました。本研究成果は、さまざまな気体(ガス)の効率的な貯蔵や分離を可能にする新素材につながる成果です。

図:結晶内の細孔は、CO2が抜けた後も開いた状態が維持されるが、熱によって容易に閉じることができる。

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1126/sciadv.aaq1636

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/230941

Mohana Shivanna, Qing-Yuan Yang, Alankriti Bajpai, Susan Sen, Nobuhiko Hosono, Shinpei Kusaka, Tony Pham, Katherine A. Forrest, Brian Space, Susumu Kitagawa, Michael J. Zaworotko (2018). Readily accessible shape-memory effect in a porous interpenetrated coordination network. Science Advances, 4(4), eaaq1636.

  • 京都新聞(4月29日 29面)および日刊工業新聞(4月30日 15面)に掲載されました。