研究成果

光超音波トモグラフィで皮膚の精細な3D血管地図の作成に成功 -より安全かつ良質な皮弁移植術の確立を目指して-


2018年05月01日


     齊藤晋 医学研究科講師、津下到 医学部附属病院特定病院助教、戸井雅和 医学研究科教授らの研究グループは、光超音波トモグラフィによる皮膚の精細な3D血管地図の作成に成功しました。本研究は、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)における、八木隆行プログラムマネージャーの研究開発プログラムの一環です。

     

     本研究成果は、2018427日に米形成外科学会の学術誌「Plastic and Reconstructive Surgery」に掲載されました。

     

    研究者からのコメント

    左から、齊藤講師、津下助教

    形成外科では、がんなどで失われた組織を再建する治療を行っています。再建には遊離皮弁という技術が用いられます。特に顔や手などの再建では整容と機能の両面が求められるため、薄くしなやかな皮弁が必要となります。しかしながら、皮弁を薄くする作業では重要な皮下血管を損傷する危険性がありました。本研究では、これまで見ることができなかった皮下の細かい血管の3次元地図を作成することに成功しました。この血管地図を用いることにより、安全で正確な再建治療が可能となります。

    概要

     がんの切除後に組織の欠損が生じた場合、体の別の部位から血管を付けた状態で皮膚や皮下脂肪を採取し、欠損部の近くにある血管と吻合させることによって組織を移植する手術が行われます。これを遊離皮弁移植術といいます。太ももの皮膚はしなやかで、また採取による後遺症もほとんど無いため、近年ではよく移植ドナーとして用いられています。顔や手などの形を精巧に再現しようとすればより薄い皮弁が必要となりますが、薄くすればするほど血管が損傷されるリスクが高くなるため、経験の豊富な医師でも危険性の高い手術でした。

     本研究では「光超音波トモグラフィ技術」を用いて太ももの撮影を行い、超音波やMRIでは描出できない細かい血管のネットワークを描き出すことができました。さらに、深さごとに色分けを行うことによって、3次元の情報を含んだ血管地図を作ることに成功しました。光超音波トモグラフィは、血管に光エネルギーを与えることにより発生した超音波を探知して、血管を映像化する新しい撮影技術で、撮影に造影剤を用いないために極めて安全に検査をすることができます。本研究は、光超音波トモグラフィが移植治療における術前評価法として有用であることを示し、より優れたがん治療法の創出にもつながる画期的なものです。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】
    https://doi.org/10.1097/PRS.0000000000004328

    【KURENAIアクセスURL】
    http://hdl.handle.net/2433/232633

    Itaru Tsuge, Susumu Saito, Hiroyuki Sekiguchi, Aya Yoshikawa, Yoshiaki Matsumoto, Masakazu Toi, Shigehiko Suzuki (2018). Photoacoustic Tomography Shows the Branching Pattern of Anterolateral Thigh Perforators In Vivo. Plastic and Reconstructive Surgery, 141(5), 1288-1292.


    光超音波トモグラフィで皮膚の精細な3D血管地図の作成に成功 -より安全かつ良質な皮弁移植術の確立を目指して-
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