絶滅危惧種の沖縄固有種のコウモリを沖縄本島で22年ぶりに発見しました

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Jason Preble 情報学研究科博士課程学生、 Christian Vincenot 同助教らの研究グループは、絶滅危惧種のヤンバルホオヒゲコウモリ(学名: Myotis yanbarensis )を、沖縄本島で22 年ぶりに 捕獲しました。

研究者からのコメント

左から、Preble博士課程学生、Vincenot助教

2018年2月20日午後8時5分に、一匹のオスのヤンバルホオヒゲコウモリを捕らえました。体重はわずか4.9グラムで、健康状態は良さそうでした。放す前に、VHFトランスミッターによってこの個体を追跡し、2月23日の夜にもう一匹のオス(体重5.2グラム)を捕らえ、さらに2月27日の夜にも三匹目のオス(体重5.5グラム)を捕らえました。今回の捕獲は、在日米軍の旧北部訓練場で行いましたが、この地域は半世紀以上にわたって立ち入りが禁止されていたために、ヤンバルホオヒゲコウモリのような環境変化に敏感な野生動物にとっては、保護区のような役割を果たしていたと考えることができます。今回の発見は、このきわめて珍しい生物種の保護に希望を持たせるものですが、一方で、このヤンバルホオヒゲコウモリがやんばるの森の非常に限定された地域にしか生息できない生物種で、局所絶滅の危機にさらされていることも示唆しています。したがって、現在ユネスコ自然遺産の候補にも挙げられているこの地域をいかに保護してゆくか、極めて注意深い対策が必要となります。

概要

絶滅危惧種のヤンバルホオヒゲコウモリが、沖縄本島で22 年ぶりに 捕獲されました。本研究グループは、 2018 2 20 日に沖縄本島北部のやんばるの森でフィールド調査中に発見し、生きたまま捕獲しました。このヤンバルホオヒゲコウモリは、 1996 年にやんばるの亜熱帯のジャングルで初めて 2 体が発見されて以来、徳之島と奄美大島でわずかに数回観察されたのみで、沖縄本島では見つかっていませんでした。今回の発見は、ヤンバルホオヒゲコウモリの保護および沖縄の生態系保全に重要な意味を持つばかりでなく、2016年に返還された在日米軍旧沖縄北部訓練場で行われた初めてのコウモリのフィールド調査という点でも大きな意義を持つものです。

生きたままの捕獲に成功したヤンバルホオヒゲコウモリ

詳しい研究内容について

書誌情報

  • 朝日新聞(4月24日35面)、京都新聞(4月24日28面)、産経新聞(4月24日28面)、毎日新聞(4月24日25面)および読売新聞(4月24日30面)に掲載されました。