科学と科学が出会う時 -異分野の概念どうしが学際的に融合する過程を検証-

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Christian Vincenot 情報学研究科助教は、異なる学術領域で別々に発展した2つの理論が融合し、統一的な概念となる過程を、関連論文の引用ネットワークを時間軸に沿ってシミュレーションすることで明らかにしました。

本研究成果は、2018年3月7日に英国の国際学術誌「Proceedings of the Royal Society B」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

本研究は今後、今回開発したアルゴリズムを ABM IBM 以外の学術上の概念と用語に適用して、同様のシミュレーションを行い、概念の融合を引き起こすために必要な要素について検証する予定です。それによって、さまざまな学際的研究のアイデアが生まれることを期待しています。

概要

学際的な研究は、科学の発展をうながす原動力のひとつです。異なる学術分野の概念が出会い、融合し、ひとつの普遍的な理論へと昇華する過程で、未知の課題や方法論が生まれ、イノベーションに拍車がかかります。本研究は、異なる学術領域で別々に発展した2つのモデリング理論 ABM Agent Based Modeling )と IBM Individual Based Modeling )が融合し、統一的な概念へと昇華する過程を明らかにしました。本研究で開発したアルゴリズムを応用することによって、学際的な研究を発案・構築する場合の理論的枠組みを提供することができると期待されます。

図:異分野で用いられるモデリング概念 ABM IBM が次第に接近・融合していく様子を、 1990 年から 2017 年までの関連論文における引用状況を追跡することで明らかにした動画。(提供: Kyoto University / Christian Vincenot

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1098/rspb.2017.2360

Christian E. Vincenot (2018). How new concepts become universal scientific approaches: insights from citation network analysis of agent-based complex systems science. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 285(1874), 20172360.