研究成果

青色光と二酸化炭素による気孔開閉運動を制御する分子機構の解明


2017年12月05日


     杉山直幸 薬学研究科准教授、樋山麻美 日本学術振興会特別研究員(九州大学)、島崎研一郎 九州大学教授(現・名誉教授)、武宮淳史 山口大学准教授、多田安臣 名古屋大学教授、宗正晋太郎 岡山大学助教、村田芳行 同教授らの研究グループは、青色光と二酸化炭素(CO2)に応答した気孔開閉運動を制御する分子機構の一端を明らかにしました。

     本研究成果は、2017年11月3日午後7時にオンライン国際科学誌 「Nature Communications」 に発表されました。

    研究者からのコメント

     タンパク質のリン酸化は、細胞内の情報伝達に非常に重要な役割を果たしています。本研究では、青色光刺激により植物の細胞内で起こるタンパク質リン酸化の変化を大規模に調べました。

     今回発見した新奇タンパク質リン酸化酵素CBCは、青色光と低濃度CO2による気孔開口の増大を引き起こします。本研究成果は、変動する大気中の二酸化炭素濃度が農作物の生育に与える影響の理解に貢献します。また二酸化炭素の吸収効率を高めた農作物の開発技術への応用が期待されます。

    概要

     高等植物の葉の表皮には、一対の「孔辺細胞」と呼ばれる高度に分化した細胞からなる「気孔」という小孔が存在します。植物は気孔を開くことで、光合成に必要な二酸化炭素を吸収し、同時に蒸散により水を放出することで、土壌の栄養分を根から吸収するための駆動力を得ています。

     光に応答して気孔が開くことは、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの息子であるフランシス・ダーウィンにより発見されました。その後の研究で、光のなかでも特に400~500nm付近の青色光が気孔開口に重要で、植物の光合成を増大することがわかりました。青色光とは反対に高濃度CO2は気孔閉鎖を、低濃度CO2は開口を誘導することがわかっています。気孔開度は植物の生育に大きな影響を与えますので、大気中のCO2濃度の変動が農作物に与える影響を理解し、その対策を考えるためにも、青色光とCO2による気孔開閉運動の情報統合機構の解明が求められていました。

     本研究グループは、青色光とCO2による気孔開閉運動の制御シグナルに関わる新奇タンパク質リン酸化酵素を同定し、CBC(CONVERGENCE OF BLUE LIGHT and CO2)と命名しました。

    図:タンパク質リン酸化による細胞内の情報伝達

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-017-01237-5

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/228164

    Asami Hiyama, Atsushi Takemiya, Shintaro Munemasa, Eiji Okuma, Naoyuki Sugiyama, Yasuomi Tada, Yoshiyuki Murata & Ken-ichiro Shimazaki (2017). Blue light and CO2 signals converge to regulate light-induced stomatal opening. JJJJ, Nature Communications, 8, 1284.


    青色光と二酸化炭素による気孔開閉運動を制御する分子機構の解明
    現在の画像 JPEG image — 16 KB

    No