研究成果

琵琶湖の水草、人工衛星で把握


2017年12月04日


    ※ 一部内容を修正しました。(2017年12月4日)

     山敷庸亮 総合生存学館教授、Shweta Yadav 防災研究所特定研究員、石川可奈子 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター専門研究員、米田稔 工学研究科教授、須崎純一 同准教授、田村正行 名誉教授らの研究グループは、船の航行や水の利用に大きな影響を与える沈水植物(水底に根を張る水草)のLANDSAT-8衛星リモートセンシングを用いたモニタリング手法を開発しました。

     本研究成果は、2017年9月18日に「Remote Sensing」誌に掲載されました。また気象変動観測衛星「しきさい」の衛星データを用いた地球規模の観測研究プロジェクトについて、JAXAとの共同研究締結を行いました。

    研究者からのコメント

    (上段)左から、山敷教授、Yadav特定研究員、石川専門研究員
    (下段)左から、米田教授、須崎准教授、田村名誉教授

     湖における富栄養化の指標として、植物プランクトン濃度が長い間最重要とされており、その監視技術は海洋と淡水域について確立されてきました。

     しかし近年、沈水植物の被害が深刻化してきた琵琶湖では、沈水植物の大量繁茂による船舶航行障害、景観悪化、漁業・取水障害、生態系への悪影響等が問題になっており、その分布域と量の推定技術開発が求められていましたが、植物プランクトンと沈水植物の反射スペクトルの分離は困難でした。

     今回開発した技術では、空間解像度30 mの衛星画像からでも沈水植物の定量化とその分類が条件によって(※)可能であることが証明されました。この人工衛星による監視技術が琵琶湖南湖の管理に役立てられることが望まれます。また、2017年12月23日打ち上げ予定の気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)を用いたJAXAとの共同研究を通じて、世界の湖における淡水管理に役立てたいと考えております。

    ※分類が可能なのは、光学的に浅い湖であること、水中のクロロフィルaや懸濁物質が一定濃度以下であることなどの条件がありますが、本条件については別論文に投稿中です。

    概要

     生活に影響を及ぼすような水草を人工衛星から把握する試みはこれまでも行われてきましたが、沈水植物とそれ以外の水草の判別や正確な量の把握は困難なままでした。

     本研究グループは、米国の地球観測衛星LANDSAT-8により2013年から2016年にかけて撮影した琵琶湖南湖の画像から、湖面の明度を手掛かりに沈水植物の分布を解析するアルゴリズムを開発しました。その結果、実際に潜水調査した結果とほぼ変わらない精度で沈水植物を見つけ出すことに成功しました。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.3390/rs9090966

    【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/228144

    Shweta Yadav, Minoru Yoneda, Masayuki Tamura, Junichi Susaki, Kanako Ishikawa and Yosuke Yamashiki (2017). A Satellite-Based Assessment of the Distribution and Biomass of Submerged Aquatic Vegetation in the Optically Shallow Basin of Lake Biwa. Remote Sensing, 9(9), 966.

    • 京都新聞(11月11日 28面)、毎日新聞(11月11日夕刊 6面)および読売新聞(11月11日夕刊 2面)に掲載されました。

    琵琶湖の水草、人工衛星で把握
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