研究成果

チンパンジーがじゃんけんを学習:循環関係を理解する能力を備える


2017年08月22日


     松沢哲郎 高等研究院副院長・特別教授、高潔 霊長類研究所修士課程学生、友永雅己 同教授、蘇彦捷 北京大学教授らの研究グループは、チンパンジーがじゃんけんを学習することを発見しました。チンパンジーにも、ヒトでよく見られる循環的な問題を解決する能力が、実は「備わっている」ことがわかる非常に興味深い発見です。

     本研究成果は、2017年8月10日正午にSpringer社の学術誌「Primates」オンライン版で公開されました。

    研究者からのコメント

    左から、松沢副院長、高修士課程学生

     チンパンジーも、4歳以上の子どもも、じゃんけんを学習できます。これは循環関係の理解にかかわる興味深い発見です。ヒトでよく見られる非直線的問題を解決する能力が、実はチンパンジーに「備わっている」のです。少なくともこの認知的能力という点でチンパンジーは4歳の子どもと同じくらい柔軟だということが分かりました。

    概要

     じゃんけんは、「紙」は「石」に勝ち、「石」は「はさみ」に勝ち、「はさみ」は「紙」に勝つ、いわば、3者が循環する関係です。もし「はさみ」が「紙」に勝つのではなく4つ目の例えば「布」に勝つとすればこの関係は直線的な関係ですが、循環関係は非直線的です。

     今回研究グループはチンパンジーにじゃんけんの規則を教え、ルールを学習できるか調査したところ、7個体中5個体が完全に習得しました。ヒトの子どもにも同様の調査を行い、ヒトは約4歳で、じゃんけんのルールを習得できることがわかりました。

     つまり、チンパンジーは、ヒトの4歳の子どもと同じくらい柔軟に循環関係を理解できる、認知能力があるということです。

     人間同士のコミュニティーの中には、非直線的で、時に循環したりする優劣関係が存在しますが、チンパンジーの社会は、比較的厳格な直線的優劣関係を持ちます。そんなチンパンジーにも、ヒトでよく見られる非直線的な問題を解決する能力が備わっていることがわかりました。

    図:(左)グーとパーのうち、パーを選ぶチンパンジー、(右)グーとパーのうち、パーを選ぶ子ども

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1007/s10329-017-0620-0

    Jie Gao, Yanjie Su, Masaki Tomonaga, Tetsuro Matsuzawa(2017). Learning the rules of the rock–paper–scissors game: chimpanzees versus children. Primates.

    • 朝日新聞(8月11日 28面)、京都新聞(8月11日 26面)、産経新聞(8月11日 22面)、中日新聞(8月11日 1・29面)、日刊工業新聞(8月11日 17面)、日本経済新聞(8月11日 34面)、毎日新聞(8月11日 27面)、読売新聞(8月10日夕刊 10面)に掲載およびNHK(8月10日)、毎日放送(8月10日)、読売テレビ(8月10日・11日)、KBS京都(8月10日)、関西テレビ(8月10日)、フジテレビ(8月10日・11日)、TBS(8月11日)、テレビ朝日(8月11日)で放送されました。

    チンパンジーがじゃんけんを学習:循環関係を理解する能力を備える
    現在の画像 JPEG image — 9 KB

    No