研究成果

人工光合成技術による二酸化炭素とアンモニアからの合成ガスの創生


2017年07月07日


     寺村謙太郎 工学研究科准教授、田中庸裕 同教授らの研究グループは、アンモニアを電子源として二酸化炭素(CO2)を光還元し、一酸化炭素(CO)を取り出す反応に高い活性を示す光触媒群を発見しました。CO2を光還元する場合には同時に水も光還元されますが、今回発見した触媒を用いると水の光還元はほぼ進行しないため、CO2から一酸化炭素のみを得ることに成功しました。アンモニアからは無害な窒素のみが生成するため、常温・常圧条件下で水素と一酸化炭素の合成ガスを容易に得る方法として期待が持てる手法です。

     本研究成果は、2017年6月19日に英国王立化学会の学術誌「Chemical Science」オンライン速報版に掲載されました。

    研究者からのコメント

     現在、大気中の二酸化炭素を削減する技術は二酸化炭素貯留(CO2 Capture and Storage、CCS)が一般的です。今回の成果は新たにCO2を化学品の基礎原料とするケミストリーを発展させる鍵となる技術だと考えています。

     これまでCO2の光還元における電子源はH2Oか有機物でした。H2Oを電子源とするには現在のところ高いハードルがあります。一方で有機物を用いると炭素源が複数となるため、本当にCO2から光還元されたものなのか疑義が出る可能性がありました。本研究は無機物であるNH3を電子源として利用できることを見出したことにも意義があります。

    概要

     エネルギー・環境問題が顕在化している現在、植物の光合成を模倣した人工光合成技術の確立は全世界的に注目を浴びています。温室効果ガスとしてよく知られているCO2はいずれ枯渇する化石燃料を燃焼した際に排出されます。CO2は各種の温室効果ガスの中で最も排出量が多く、地球温暖化に最も影響を及ぼす気体であるため、その削減および利用が求められています。しかしながら、CO2は非常に安定な直線型の分子であるため、別の物質と反応させることが非常に難しいことが知られています。

     本研究では不均一系光触媒(固体光触媒)を用いて、アンモニアを電子源としてCO2の光活性化を行い、CO2から合成ガスの原料となるCOを高い濃度(約7500ppm)で得ることに成功しました。これは今までに報告されている中で最も高い濃度です。さらにアンモニアを電子源としたことで、水の場合に生成される酸素とは異なり窒素が生成するため、COと酸素を分離する必要がないことも利点です。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1039/C7SC01851G

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/226351

    Zeai Huang, Kentaro Teramura, Hiroyuki Asakura, Saburo Hosokawa and Tsunehiro Tanaka (2017). Efficient photocatalytic carbon monoxide production from ammonia and carbon dioxide by the aid of artificial photosynthesis. Chemical Science.


    人工光合成技術による二酸化炭素とアンモニアからの合成ガスの創生
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