研究成果

希少樹種などの輸入広葉樹材代替として北海道産シラカバを用いたギターを製作


2017年04月13日


     村田功二 農学研究科講師、前川遥樹 同修士課程学生らの研究グループは、国内で主に紙・パルプ用のチップとして利用されているシラカバ(シラカンバ)/ダケカンバ材の音響特性を検討しました。その結果、シラカバ/ダケカンバ材はこれまでソリッドギター(空洞を持たない一枚板構造のギター)で使用されてきたハードメイプル、マホガニー、ローズウッドの中で比較的ハードメイプルに近い特性を持っていることが分かりました。また、研究で得られた音響特性値に従いボディにシラカバ材、ネックにダケカンバ材を使用したソリッドギターを試作しました。

     本研究成果は、2017年3月17日から19日に開催された第67回日本木材学会大会にて報告され、運営委員長賞を受賞しました。

    研究者からのコメント

    左から、村田講師、前川修士課程学生

     生物多様性保全の観点から希少種の利用には注意が必要です。希少種にかかわらず木材資源の利用ではサステナビリティ(持続可能性)は重要なキーワードです。また、本研究でトレーサビリティ(追跡可能性)が容易な国産広葉樹材が、トーンウッドとして十分に利用可能であることが分かりました。試作で用いたシラカバ材・ダケカンバ材はサステナビリティが確認されたFSC®認証林(三井物産の森)から得られています。希少性や化粧性だけでなく、サステナビリティ・トレーサビリティもトーンウッドの選択肢になることを期待します。

    概要

     楽器で使われる材「トーンウッド」としてローズウッド、マホガニーなどの樹種が利用されてきましたが、これらの希少な樹種は絶滅の危機に瀕しています。ワシントン条約の規制下でこれまで使用されてきたトーンウッドが使用困難になり、代替材の模索が始まっています。欧州ではトーンウッドとしてバーチ材(カンバ)が評価されているほか、国内ではこれまで用いられてこなかったケヤキやサクラ、トチノキといった木材によるギター製作が各地の工房で試みられています。加えて、これらの木材に熱処理を施すことでヴィンテージ楽器の音響特性を再現する取り組みも行われています。

     本研究グループは、資源量、安定供給の可能性(成長速度)などから、シラカバ、ダケカンバ、センダンを対象材料に選び、アタックの強さ、高次周波数の低下(倍音周波数構成)、振動のしにくさ、放出音の大きさ、縦振動の減衰(内部摩擦)、たわみ振動の減衰(内部摩擦)の六つの観点で音響特性を評価し、ハードメイプル、マホガニー、ローズウッドと比較しました。その結果、シラカンバ材とダケカンバ材は比較的ハードメイプルに近い特徴を持ち、センダンはマホガニーに似ていることが分かりました。またすべての対象樹種で音の減衰が大きくサステイン(音の伸び)に劣ることを明らかにしました。

     また、シラカバ材は160度で熱処理することで高域の響きが改善し、210度で処理するとサステインがハードメイプル並みに改善することも分かりました。ダケカンバ材の場合はどちらの温度で熱処理した場合でも、鳴りをハードメイプル並みに改善できました。カンバ材は熱処理を行うことで、よりハードメイプルに近い楽器用木材として活用できる可能性を示唆する成果です。

    詳しい研究内容について


    希少樹種などの輸入広葉樹材代替として北海道産シラカバを用いたギターを製作
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