研究成果

世界初、かゆみを標的にしたアトピー性皮膚炎の新たな治療戦略


2017年03月03日


     椛島健治 医学研究科教授らの研究グループは、九州大学、東京逓信病院、ドイツ、米国、英国、ポーランドの研究機関と共同で、アトピー性皮膚炎に対する治療薬として開発中の抗IL-31受容体ヒト化モノクローナル抗体nemolizumabに関し、安全性や有効性、最適な投与量などを調べる第 II 相国際共同治験を行いました。その結果、抗IL-31抗体の臨床症状やかゆみに対する有効性が確認されました。

     本研究成果は、2017年3月3日付で米国の科学誌「The New England Journal of Medicine(NEJM)」電子版に掲載されました。

    研究者からのコメント

    椛島教授

     Nemolizumabによるかゆみの抑制が確認されたことにより、IL-31がアトピー性皮膚炎により引き起こされるかゆみに重要な役割を果たしていることが示されました。今後、IL-31の制御がアトピー性皮膚炎の新たな治療手段やQOL向上の一助となる可能性が期待されます。

    概要

     アトピー性皮膚炎は、皮膚バリア障害、かゆみ、湿疹を主徴とする皮膚疾患で、慢性的に回復と悪化を繰り返し、患者とその家族の生活の質(QOL)に悪影響を与えています。また、アトピー性皮膚炎患者におけるかゆみの発生にはインターロイキン-31(IL-31)がIL-31受容体を介して関与していることが報告されており、IL-31を標的としたかゆみの治療戦略が期待されていました。

     そこで本研究グループは、国内外の中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者264名を対象に、IL-31受容体の中和抗体の有効性と安全性を検証しました。その結果、抗IL-31抗体の臨床症状やかゆみに対する有効性が確認されました。また重篤な副作用もみられませんでした。

     アトピー性皮膚炎の患者は、かゆみのために寝付くまで時間がかかり、夜中にかゆくて目が覚めてしまうことが知られています。本薬剤は、これらアトピー性皮膚炎による不眠にも有効であることも確認しており、アトピー性皮膚炎患者のQOLの改善にも有益である可能性が示唆されました。

    イメージ図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 http://doi.org/10.1056/NEJMoa1606490

    Ruzicka, Thomas and Hanifin, Jon M. and Furue, Masutaka and Pulka, Grazyna and Mlynarczyk, Izabela and Wollenberg, Andreas and Galus, Ryszard and Etoh, Takafumi and Mihara, Ryosuke and Yoshida, Hiroki and Stewart, Jonathan and Kabashima, Kenji. (2017). Anti–Interleukin-31 Receptor A Antibody for Atopic Dermatitis. New England Journal of Medicine, 376(9), pp. 826-835.

    • 朝日新聞(3月3日 35面)、京都新聞(3月2日夕刊 8面)、産経新聞(3月2日 1面)、中日新聞(3月2日夕刊 3面)、日刊工業新聞(3月3日 2面)、日本経済新聞(3月2日夕刊 14面)、読売新聞(3月2日夕刊 8面)、時事通信(3月2日)に掲載およびNHK(3月2日)、関西テレビ(3月2日)、KBS京都(3月2日)で放送されました。

    世界初、かゆみを標的にしたアトピー性皮膚炎の新たな治療戦略
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