研究成果

「ちきゅう」の断層掘削試料の分析と動力学解析による南海トラフ地震での断層すべり量の定量的評価


2016年06月27日


     James J. Mori防災研究所教授、廣野哲朗 大阪大学理学研究科准教授、津田健一 清水建設技術研究所博士、谷川亘 海洋研究開発機構高知コア研究所博士、Jean-Paul Ampuero カリフォルニア工科大学教授、芝崎文一郎 建築研究所郎博士、木下正高 東京大学地震研究所教授らの研究グループは、世界で初めて、断層掘削試料から地震時の海溝付近のすべり量を評価する解析方法を確立しました。

     本研究成果は、英国Nature Publishing Groupの「Scientific Reports」に、日本時間6月20日18時にオンライン公開されました。 

    研究者からのコメント

     This study models the large slip that occurs during great earthquakes in the Japan Trench and Nankai Trough. One important aspect of this paper, is that the models use actual data collected from the earthquake faults during the JFAST and NantroSEIZE drilling projects. Most previous modeling studies did not have available this important information about the physical fault properties. These results help clarify the physical mechanisms for the large slip of the 2011 Tohoku-oki earthquake and the potential slip for the future Nankai earthquake. Explaining these large fault displacements is important because the slip is directly related to the size of the tsunami produced by the earthquakes.

    概要

     2011年東北地方太平洋沖地震では、海溝付近のプレート境界が大規模に滑ったことにより、巨大津波が発生し、沿岸地域に甚大な被害を与えました。

     これまでプレート境界断層浅部は地震性すべりを起こさない領域とされてきたため、この原因を探るべく地球深部探査船による第343次研究航海(東北地方太平洋沖地震調査掘削:JFAST)が2012年に実施されました。その結果、プレート境界断層は低い強度および低い浸透性をもつ粘土鉱物を多く含み(図)、これが巨大すべりを誘発したとされました。  

     一方で、南海トラフにおける海溝型巨大地震は約100~150年程度の間隔で繰り返し発生し、そのたびに沿岸域は津波の被害をうけてきました。

     これら、地震・津波発生過程を明らかにすべく、本研究グループは2007年より南海トラフ地震発生帯掘削計画(NanTroSEIZE)が開始し、南海トラフのプレート境界断層と巨大分岐断層の断層試料の回収に成功しました。

     この度、この境界断層の試料を分析・解析した結果、同震災で観測されたすべり量とほぼ同じ、約80 mの巨大すべりが再現され、本解析手法の有効性を確認しました。

     その解析方法で南海トラフの断層試料を解析した結果、海溝付近のすべり量は約30-50 m程度になる可能性が、世界で初めて明らかになりました。

     

     

    日本海溝(上)と南海トラフ(下)の断面図および断層画像

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】
    http://dx.doi.org/10.1038/srep28184

    【KURENAIアクセスURL】
    http://hdl.handle.net/2433/215279


    Tetsuro Hirono, Kenichi Tsuda, Wataru Tanikawa, Jean-Paul Ampuero, Bunichiro Shibazaki, Masataka Kinoshita & James J. Mori. (2016). Near-trench slip potential of megaquakes evaluated from fault properties and conditions. Scientific Reports, 6:28184

     

    • 朝日新聞(6月23日 29面)、京都新聞(6月21日 26面)、日刊工業新聞(6月21日 31面)、毎日新聞(6月21日 27面)に掲載されました。

     


    「ちきゅう」の断層掘削試料の分析と動力学解析による南海トラフ地震での断層すべり量の定量的評価
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