高性能ナノ繊維で強化した樹脂複合材料と高効率製造プロセスを開発 -京都大学内で一貫製造用テストプラントが稼働開始-

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矢野浩之生存圏研究所教授ら研究グループを主体とする産学連携グループは、NEDOプロジェクトにおいて、耐熱性と樹脂との相溶性に優れた軽量、高強度の高性能ナノ繊維と、この材料で補強した樹脂複合材料を高効率で連続的に製造するプロセス(京都プロセス)を世界に先駆けて開発しました。

また、これらの技術をもとに、木材や竹などの原料から樹脂複合材料まで一気通貫で製造するテストプラントを京都大学宇治キャンパス内に完成させ、稼働を開始しました。

研究者からのコメント

将来的には、樹脂についても、森林資源など非可食性バイオマス資源からポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等を製造することで、日本のバイオマス資源を100%使用した高性能の自動車用材料や家電用材料を製造し、海外へ輸出することも夢ではありません。

概要

セルロースナノファイバー(CNF)は、持続型木質バイオマス資源由来の、軽量、高強度、低熱膨張のナノ繊維であり、樹脂補強繊維としての利用が期待されています。「日本再興戦略」改訂2015にセルロースナノファイバーの研究開発等によるマテリアル利用の促進に向けた取り組みを推進することが明記され、日本ではCNFに関する社会的な関心が急速に高まっています。しかし、その状況は北欧、北米、中国も同様です。日本のCNF材料開発の優位性、信頼性を確保するには、いち早く、CNFおよびCNF樹脂複合材料を安定的に製造できるプロセスおよび装置の開発、ユーザーの求める機能の開発という最も高いハードルを越え、他国が追いつけない状況まで引き離すことが重要です。

これらの実現のため、NEDOプロジェクトにおいて、本学が主体となった、王子ホールディングス株式会社、日本製紙株式会社、星光PMC株式会社、地方独立行政法人 京都市産業技術研究所京都市産業技術研究所が参画する産学連携グループは、樹脂の補強性に優れたCNFの開発に取り組んできました。
今般、耐熱性と樹脂との相溶性に優れた軽量、高強度の新たなCNF材料と、このCNFで補強した樹脂複合材料を高効率で連続的に製造するプロセス(京都プロセス)を世界に先駆けて開発しました。また、これらの技術を一貫製造プロセスで実証するためのテストプラントを京都大学宇治キャンパス内に完成させ、稼働を開始しました。
2016年度から、複数の企業や公的研究機関に向けてテストプラントを用いて製造したサンプルの提供を予定しています。

変性リグノセルロースナノファイバー・樹脂複合材料の一貫製造プロセス(京都プロセス)

詳しい研究内容について