研究成果

量子もつれ光を用いた、超高分解能光断層撮影技術を開発


2015年12月15日


     竹内繁樹 工学研究科教授、岡野真之 同特定研究員、岡本亮 同助教、栗村直 物質・材料研究機構主幹研究員ら、および西澤典彦 名古屋大学教授からなる研究グループは、量子もつれ光を用いた2光子干渉により、分解能0.54マイクロメートルに相当する2光子量子干渉縞を実現、また、群速度分散耐性を実証しました。本研究成果により、光断層撮影技術の分解能の飛躍的な向上が期待され、将来は緑内障などの早期診断など、医療分野をはじめとするさまざまな計測技術への波及が期待されます。

    研究者からのコメント

    左から竹内教授、岡本助教

     量子力学の不思議さを象徴する「量子もつれ光」が、従来不可能であった計測を可能にします。今後は、1マイクロメートル以下の分解能をもつ量子光断層撮影装置を実現を目標に研究を進め、将来的に医療をはじめさまざまな応用へとつなげられればと願っています。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。

    概要

     光干渉断層撮影技術(光コヒーレンストモグラフィ)は、眼科分野において、網膜などさまざまな組織の診断技術として急速に普及しています。さらに、肺や消化管の表層組織の断層撮影への応用も進められており、早期がんの診断などへの検討も進められています。より高い深さ分解能の実現は非常に重要です。例えば、網膜の厚みのより精密な測定が可能になれば、緑内障を発症前からその進行を予測することなども期待されます。

     今回、本研究チームは非常に広い帯域を持つ量子もつれ光源を開発、世界記録となる、0.54マイクロメートルの分解能に相当する量子干渉縞を実現しました。これは、従来の光断層撮影の原理検証で記録されていた世界記録0.75マイクロメートルを超える値です。さらに、この超高分解能が、分散媒質(水)などによってほぼ影響を受けないことも実証しました。

     今回の成果により、これまで5マイクロメートルから10マイクロメートルに制限されていた、光断層撮影の深さ分解能を大幅に向上させ、1マイクロメートルを切る分解能をもつ量子光断層撮影装置の開発が期待されます。それにより、網膜の厚みの高精度モニタリングによる緑内障の発症前診断の実現などが期待されます。

    実験結果

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    [DOI] http://dx.doi.org/10.1038/srep18042
    [KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/202606

    Masayuki Okano, Hwan Hong Lim, Ryo Okamoto, Norihiko Nishizawa, Sunao Kurimura & Shigeki Takeuchi
    "0.54 μm resolution two-photon interference with dispersion cancellation for quantum optical coherence tomography"
    Scientific Reports 5, Article number: 18042, Published online: 14 December 2015

     

    • 京都新聞(12月16日 23面)および科学新聞(1月1日 4面)に掲載されました。

    量子もつれ光を用いた、超高分解能光断層撮影技術を開発
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