研究成果

座布団型分子でペロブスカイト太陽電池の高効率化を実現 -光電変換効率、従来材料比20%増-


2015年12月11日


     若宮淳志 化学研究所准教授、西村秀隆 工学研究科博士後期課程学生、嶋崎愛 化学研究所研究員、村田靖次郎 化学研究所教授らは、佐伯昭紀 大阪大学准教授らおよびローレンス スコット 米国ボストンカレッジ名誉教授との共同研究として、独自に設計した座布団型構造をもつ革新的な有機半導体材料を開発し、これをp型バッファ層に用いることでペロブスカイト太陽電池の光電変換効率を著しく向上させることに成功しました。

     本研究成果は、2015年12月10日(米国東部時間)、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」誌のオンライン速報版に掲載されました。

    研究者からのコメント

    若宮准教授

     本研究で、ペロブスカイト太陽電池の高効率化につなげるための、有機半導体材料の分子設計指針を明確に示すことができました。これに基づいて、今後、安価で優れた特性を示す材料の開発が国内外で活発化し、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた研究が加速するものと期待されます。

    概要

     ペロブスカイト太陽電池は、材料を基板やフィルムに塗る「印刷技術」により作製でき、従来の太陽電池に比べて製造コストを大幅に下げることが可能な新たな太陽電池として世界中で急速に注目を集めています。

     これまでは、主に光吸収材料であるペロブスカイト層の作製法の改良により光電変換効率が向上してきました。その一方で、光により生成した電荷をペロブスカイト層から取り出すためのバッファ層材料については、優れた特性を示す材料は限られており、Spiro-OMeTADとよばれる製造コストが極めて高い有機半導体材料が、依然、標準材料として用いられている状況でした。そのため、製造コストが安く、より優れた特性を示す有機半導体材料をいかに開発できるかが、本太陽電池の実用化への重要課題の一つとなっていました。

     今回、「二次元(シート状)に骨格を拡張して座布団型の構造をもたせる」という独自の分子設計に基づいて、塗布型の有機半導体材料(HND-Azulene)を新たに開発しました。これをペロブスカイト太陽電池のp型バッファ層に用いることで、従来の球状の分子である標準材料(Spiro-OMeTAD)を用いた場合に比べても、最大で1.2倍の光電変換効率の向上を実現し、16.5%の光電変換効率を得ることに成功しました。

    開発した座布団型半導体材料(HND-Azulene)とペロブスカイト太陽電池特性

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    [DOI] http://dx.doi.org/10.1021/jacs.5b11008

    Hidetaka Nishimura, Naoki Ishida, Ai Shimazaki, Atsushi Wakamiya, Akinori Saeki, Lawrence T. Scott, and Yasujiro Murata
    "Hole-Transporting Materials with a Two-Dimensionally Expanded π-System around an Azulene Core for Efficient Perovskite Solar Cells"
    Journal of the American Chemical Society, Publication Date (Web): December 10, 2015

     

    • 京都新聞(12月13日 30面)に掲載されました。

    座布団型分子でペロブスカイト太陽電池の高効率化を実現 -光電変換効率、従来材料比20%増-
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