研究成果

植物の体内時計が日の長さと温度の情報を異なる組織で処理していることを発見


2015年11月04日


     遠藤求 生命科学研究科准教授らは、植物の体内時計の働きを組織レベルで阻害する手法を用いて、各組織における体内時計の生理的意義を明らかにすることに成功しました。

     本研究成果は、2015年11月2日(英国時間)に英国科学誌「Nature Plants」のオンライン速報版で公開されました。

    研究者からのコメント

    左から遠藤准教授、清水華子 生命科学研究科教務補佐員

     今回の結果は植物に対する温暖化の影響を評価する上で表皮を標的とすることの重要性を示しているばかりでなく、未だ発見されていない植物の温度受容体が表皮に存在する可能性を強く示唆するものです。より精度の高い一細胞レベルでの解析や特定の組織だけを標的とした成長制御により、植物の精密な成長調節法の開発につながると期待できます。

    本研究成果のポイント

    • 植物の体内時計は組織を単位として半ば独立に生理応答を制御していることを示した。
    • 植物の温度情報の処理における、表皮の体内時計の重要性を初めて示した。
    • 植物組織の体内時計機能は、植物の精密な成長調節法開発のターゲットとして期待

    概要

     遠藤准教授らの研究グループの先行研究から、動物のような体内時計の機能分担が、植物にも組織レベルで存在することは示されていましたが、どの組織の体内時計がどのような生理応答に関わっているかは不明でした。

     本研究グループは、体内時計への代表的な入力刺激である日の長さ(日長)と温度がそれぞれどの組織の体内時計によって処理されているか解析した結果、維管束(篩部)の体内時計は日長情報を処理し花芽形成(花成)を制御する一方で、表皮の体内時計は温度情報を処理し細胞伸長を制御していることを明らかにしました。このことは、植物の体内時計は各組織の体内時計が半ば自律的に制御を行う非集中型のネットワーク構造をとっていることを示しており、植物の体内時計の機能分担が、より明確になりました。

    表皮の時計は細胞伸長を制御する。

    表皮を含む組織で時計機能を阻害した系統でのみ、22度で胚軸(茎)が伸びている。花芽形成に表現型がみられた維管束・篩部伴細胞の時計は細胞伸長に影響しない。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    [DOI] http://dx.doi.org/10.1038/nplants.2015.163
    [KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/201387

    Hanako Shimizu, Kana Katayama, Tomoko Koto, Kotaro Torii, Takashi Araki & Motomu Endo
    "Decentralized circadian clocks process thermal and photoperiodic cues in specific tissues"
    Nature Plants 1, Article number: 15163 Published online: 02 November 2015

     

    • 京都新聞(11月3日 29面)に掲載されました。

    植物の体内時計が日の長さと温度の情報を異なる組織で処理していることを発見
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