研究成果

食事性肥満の鍵因子neudesinの同定


2015年05月08日


     伊藤信行 名誉教授、木村郁夫 東京農工大学テニュアトラック特任教授(元薬学研究科客員准教授)、太田紘也 神戸薬科大学研究員(元薬学研究科特定研究員)らの研究グループは、中尾一和 医学研究科メディカルイノベーションセンター特任教授、伏木亨 龍谷大学教授(元農学研究科教授)、小西守周 神戸薬科大学教授らとの共同研究により、分泌性因子neudesinの遺伝子欠損マウスが肥満しにくいことを初めて明らかにしました。

     本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」電子版に公開されました。

    研究者からのコメント

     肥満の増加は全世界的に健康上の大きな問題になっており、抗肥満薬開発のニーズが高まっています。今回私たちの研究グループでは、肥満に関わる分泌性因子neudesinを発見しました。今回の発見をスタートとして、将来的にneudesinを抗肥満薬の標的として利用できるような研究を展開したいと考えています。

    概要

     肥満は糖尿病や脂質異常症といったいわゆるメタボリック・シンドロームの発症に深く関わります。近年では、肥満の増加が全世界的に問題になっていますが、薬物による肥満治療が成功を収めているとは言い難い状況です。したがって、肥満に関わる因子を発見することは、抗肥満薬開発の可能性を高める上で有意義です。

     分泌性因子は細胞間や組織間の情報伝達において非常に重要で、生物の恒常性維持に不可欠です。白色脂肪組織由来の分泌性因子レプチンが肥満の発症に関わることが明らかになって以来、肥満の発症に関わる分泌性因子は、抗肥満薬開発の標的として大きな注目を集めています。

     そこで本研究グループは、ヒトcDNAデータベースからシグナル配列を目印にして新規分泌性因子を見つけ、その機能を調べてきました。さらに、新しく発見した分泌性因子の一つであるneudesinが生体内で果たしている役割を明らかにするためにneudesin遺伝子を欠損させたマウス(neudesin KOマウス)を作成して、解析を行いました。

     その結果、分泌性因子neudesinの遺伝子欠損マウスが肥満しにくいことを初めて明らかにしました。今後neudesinが肥満の発症において果たす役割が明らかになることで、neudesinを標的にした抗肥満薬開発への応用が期待されます。

    図:分泌性因子neudesinは交感神経活性を制御することで肥満の発症に関わる。

    詳しい研究内容について

    食事性肥満の鍵因子neudesinの同定

    書誌情報

    [DOI] http://dx.doi.org/10.1038/srep10049

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/210499

    Hiroya Ohta, Morichika Konishi, Yusuke Kobayashi, Atsuki Kashio, Takayuki Mochiyama, Shigenobu Matsumura, Kazuo Inoue, Tohru Fushiki, Kazuwa Nakao, Ikuo Kimura & Nobuyuki Itoh
    "Deletion of the Neurotrophic Factor neudesin Prevents Diet-induced Obesity by Increased Sympathetic Activity"
    Scientific Reports 5, Article number: 10049 Published 08 May 2015

    掲載情報

    • 朝日新聞(5月9日 34面)、京都新聞(5月9日 27面)、産経新聞(5月9日 2面)および中日新聞(5月9日 3面)に掲載されました。

    食事性肥満の鍵因子neudesinの同定
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