研究成果

骨標本で外来魚を駆除


2014年12月19日


     豊原治彦 農学研究科准教授と石井健一郎 地球環境学堂特定研究員は、株式会社エーアンドゼットとの共同で、外来魚として駆除されたブラックバスやブルーギルなどを利用して生物透明標本を作成する技術を開発しました。

     本技術により制作された生物透明標本は、京都大学総合博物館ミュージアムショップ、時計台記念館1F京大ショップほか、大阪市立自然史博物館ミュージアムショップ、神戸市立須磨海浜水族園等において既に販売が開始されています。

    研究者からのコメント

    左から、石井特定研究員、豊原准教授、安江泰司 株式会社エーアンドゼット企画広報社員
     

     骨格透明標本は、本来は研究用に用いられてきた技術ですが、見た目が大変に美しい標本です。私たちはこの技術を利用して、琵琶湖の外来魚駆除対策事業で捕獲されたブラックバスやブルーギルを用いた教育教材・研究用標本を作れないかと考えました。これらの標本を博物館や水族館等にて販売することで、外来魚問題を広く知っていただくと同時に、理科教育教材として理科離れや生物離れが進んでいるとされる昨今の教育状況に対し、少しでも生物に興味を持ち、問題意識を高めるきっかけになればと期待しております。

    ポイント

    • 現琵琶湖では外来魚が漁業や生態系に深刻なダメージを与えている。
    • 駆除された外来魚の有効利用が望まれている。
    • 本標本の制作には外来魚として駆除されたり、水産業において養殖で死滅した魚や混獲された魚を利用し、透明標本を安く大量に作製する技術を開発した。
    • 透明標本を樹脂に封入する技術を開発し、安全で利便性の高い製品の提供が可能になった。

    概要

     近畿の水瓶と呼ばれる琵琶湖は、多くの固有種が生息する極めて重要な水域と言えます。しかし、現在外来魚の問題が大変深刻な状況にあり、特に琵琶湖の南湖と呼ばれる地域では、在来魚がほとんど漁獲されず本来の漁業が成り立たない状況が続いています。また、外来魚は本来生息している生物を活発に捕食することから、生態系への悪影響が強く懸念されています。

     そこで本研究グループは、琵琶湖の生態系および水産業・食文化を守るために、琵琶湖の外来魚駆除対策事業で捕獲されたブラックバスやブルーギルを透明標本にすることで、解剖せずに生物の骨格等を立体的に観察するための教育教材・研究用標本を開発しました。

     骨格透明標本は、見た目が大変に美しく、多くの人に生物に対する興味を持っていただく良い機会になります。また同時に、外来魚問題にも関心を持っていただくことにもなります。これまで透明標本は、その作製に多大な労力と時間を要したため、値段が高く、一般に普及しませんでした。そこで本研究グループは、まず原材料となる魚類などを外来魚駆除された魚や、増・養殖業の過程で死滅した魚、大学の調査航海等で混獲(目的としていない生物の捕獲)された魚を利用することで、原材料コストを削減しました。また、一度に大量に作製するシステムを構築することでも、大幅に制作コストを削減しました。これにより、従来販売されている透明標本の半額以下で同等の製品を提供することが可能になりました。

     また、新たに樹脂に封入する技術を開発し、安全かつ利便性の高い標本の作製に成功しました。樹脂に封入された透明標本は、小学校の低学年くらいから安全に扱えることができます。身近になった透明標本で、多くの人に外来魚問題を知っていただくとともに、生物に少しでも興味・関心を持っていただくきっかけになることが期待されます。

    透明化された魚の例

    掲載情報

    • 京都新聞(12月18日 24面)、産経新聞(12月18日夕刊 8面)、日刊工業新聞(2月17日 19面)、日本経済新聞(12月18日夕刊 16面)および読売新聞(12月18日 34面)に掲載されました。

    骨標本で外来魚を駆除
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