研究成果

かぶれの発症における血管周囲の免疫細胞の集積の重要性の解明


2014年09月24日


     椛島健治 医学研究科准教授、 江川形平 同研究員らと夏秋洋平 久留米大学医学部助教らの研究グループは、接触皮膚炎反応(かぶれ)を三次元可視化することにより、皮膚におけるSALTの存在を検証し、皮膚内に形成されたSALTを撮影することに成功しました。

     本研究成果は、英国科学誌「Nature Immunology」誌の電子版に9月21日付け(英国時間午後6時)にて掲載されました。

    研究者からのコメント

    椛島准教授

     かぶれは皮膚疾患の中で最もありふれた疾患ですが、その機序の詳細は長い間不明でした。

     今回私たちは、かぶれが起こっている現場の3次元動画の撮影に成功しました。現在、かぶれ治療の主流はステロイドの外⽤ですが、今回の研究成果によって、よりiSALTの形成を阻害する化合物が開発されれば⽪膚炎を制御できる可能性があり、今後iSALTの役割のさらなる解析が求められます。

    概要

     これまで、皮膚以外の末梢臓器(肺・口腔/鼻粘膜・消化管・外生殖器)にはリンパ網内系組織が発見されていましたが、皮膚では1980年にSkin Associated Lymphoid Tissue(SALT:皮膚関連リンパ網内系組織)という概念は提唱されたものの、その実体は見つかっていませんでした。そこで本研究グループは、接触皮膚炎反応(かぶれ)を三次元可視化することにより、皮膚におけるSALTの存在を検証しました。

     その結果、二光子顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いることで、接触皮膚炎反応において、皮膚内に形成されたSALTを撮影することに成功しました。さらに、SALTは定常状態では存在せず、免疫応答が起こっている時にのみ誘導されることを発見し、本研究グループはこれをinducible(誘導型)SALT、すなわちiSALTと名付けました。iSALTは、マクロファージ・真皮樹状細胞・エフェクターT細胞が血管周囲に集簇することで形成され、このiSALTの形成なしに接触皮膚炎反応が起こらないことから、iSALTは少なくとも一部の皮膚炎反応の誘導に必須であることが示されました。

    (左)真皮樹状細胞とエフェクターT細胞の集簇、(右)血管周囲に集簇する真皮樹状細胞とマクロファージ

    詳しい研究内容について

    かぶれの発症における血管周囲の免疫細胞の集積の重要性の解明

    書誌情報

    [DOI] http://dx.doi.org/10.1038/ni.2992

    [KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/189891

    Yohei Natsuaki, Gyohei Egawa, Satoshi Nakamizo, Sachiko Ono, Sho Hanakawa, Takaharu Okada, Nobuhiro Kusuba, Atsushi Otsuka, Akihiko Kitoh, Tetsuya Honda, Saeko Nakajima, Soken Tsuchiya, Yukihiko Sugimoto, Ken J Ishii, Hiroko Tsutsui, Hideo Yagita, Yoichiro Iwakura, Masato Kubo, Lai guan Ng, Takashi Hashimoto, Judilyn Fuentes, Emma Guttman-Yassky, Yoshiki Miyachi & Kenji Kabashima
    "Perivascular leukocyte clusters are essential for efficient activation of effector T cells in the skin"
    Nature Immunology Published online 21 September 2014

    掲載情報

    • 京都新聞(10月7日夕刊 1面)および日刊工業新聞(9月23日 13面)に掲載されました。

    かぶれの発症における血管周囲の免疫細胞の集積の重要性の解明
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