平成27年度京都大学森林科学公開講座 「森林女子会!女性研究者の観る森と木」を開催しました。(2015年11月1日)

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生存圏研究所と農学研究科の共催により「平成27年度京都大学森林科学公開講座」を開催しました。この公開講座は、私たちにとって森林や樹木、木材がいかに重要であるかを深く理解してもらうことを目的として、毎年開催しています。

今回は生存圏研究所の男女共同参画推進委員長が本公開講座の実行委員長を務めたので、活発に研究を行っている5人の女性研究者に焦点を当て、「森林女子会! 女性研究者の観る森と木」を全体テーマとしました。

宇治キャンパスの木質ホールに70名近くが集まり、参加者の熱気が感じられる中、藤原裕子 農学研究科研究員(林産加工学分野)が「こけら葺屋根をちょっと詳しく見てみる」と題し、多くの写真や図を使って分りやすく説明しました。続いて、中谷加奈 同助教(山地保全学分野)が「土砂災害予測を科学する-頻発する土砂災害に備えて-」と題した講演を行い、マスコミでも度々報じられている身近な事例を豊富に引用して聴講者の関心を引きつけつつ、要所では最新の研究成果も織り込んで説明しました。この後のフリーディスカッションでは、一般的な内容のみではなく専門的な内容にまで話が拡がり、受講者は講演内容の理解を深めました。

昼食休憩後には、横山操 農学研究科研究員(林産加工学分野)が「古都の古材の物語」と題し、数々の歴史的建造物の木材調査に立会った際の多くの現場写真を示し、1000年以上昔の世界(木材)を観せるとともに、その長時間による木材の変化を短時間でシミュレーションする最新の研究成果も紹介しました。次に柳川綾 生存圏研究所助教(居住圏環境共生分野)が「森で学ぶ虫の世界」と題して、住居(木造建造物)にとっては悪者と位置づけられるシロアリではあるが、木材を「糖」に分解して多くの動物による利活用を可能とする貴重な役割も果たすことを分りやすく説明しました。最後に、北島薫 農学研究科教授(熱帯林環境学分野)が「実生の生存と成長のトレードオフについて熱帯林の木々が教えてくれたこと」について、研究に取り組む原動力としての「研究の楽しさ」があふれ出る話術で会場全体を話に引き込みながら楽しく話を進めました。その後のフリーディスカッションでは質問やコメントで盛り上がりました。

午前、午後の2回のフリーディスカッション、および講座終了後に回収したアンケートでは、「5人の女性研究者が楽しく活き活きと研究に取り組み、その成果を楽しく分りやすく紹介していた」との感想をはじめとして、今回の公開講座への満足度が高く、2016年度以降の開催を期待する声も多く聞かれました。「森や木の大切さに関する理解を深める」とともに、森林科学に携わる女性研究者の研究成果のみならず研究への姿勢についても理解を深める貴重な1日となりました。

熱心に講演を聞いている参加者

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