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医学部附属病院で国内で初めて製造された移動型CT手術支援システムの稼働を開始しました。(2015年4月8日)


2015年04月17日

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 医学部附属病院では、高度な外科医療を支援できる術中画像診断システムとして統合型高性能画像診断サーキットintegrated Smart Imaging Circuit (iSIC)を手術室に設置する事業を進めています。今回、その一環として、国内で初めて製造された高精度移動型術中CTが稼働しました。

 CT(コンピューター断層撮影法)は、短時間に身体を輪切りした断面像を撮影できるため、日常診療で重要な検査機器です。しかし、機器自体は非常に大きいためにCT検査室で撮像する必要があります。国内で手術室に設置されている術中CTも大がかりな設備であり、患者さんを検査室に運ぶ必要があります。そこで、臨床の現場、特に手術室では、簡便にCT撮像できる機器の開発が待望されていました。海外では、早くからCT検査器の小型化、移動型の開発が進んでいますが、未だ使い勝手がよくて高画質の撮像が可能な機器はありませんでした。

 今回、医学部附属病院が導入した移動型CT手術支援システムでは、国内で初めて開発された移動型CT撮像機、最新のナビゲーションで構成されます。移動型CTは、人一人で移動が行え、高画質なCT撮像が可能です。得られた断面像を再構成し、高精度の3次元立体画像を即座に提示することができ、手術中の状況を即座にナビゲーションと連動させて手術支援を行うことも可能になります。手術中にCTでリアルタイムに術中診断を行うことは、手術精度の向上、合併症の回避に非常に有用です。

 医学部附属病院では、今回導入する移動型CT手術支援システムと、既に稼働している次世代型ハイブリッド手術室と高磁場3テスラMRI手術室を連携させることで、治療に伴う患者さんの負担軽減と機能改善・温存を目指して、治療困難な疾患に苦しむ患者さんの治療に取り組んでまいります。

手術室の設備について

移動型CT撮像装置

 アーム型X 線CT 診断装置 3D Accuitomo M(モリタ製作所)は、容易な移動と高画質CT撮像を目的に、国内で初めて開発された装置です。従来のCTと異なり、CT装置を患者さんの手術部位に移動させて撮影を行うため、あらゆる手術状況に応じた撮像が可能です。院内のPACS画像サーバー、ナビゲーションと連動するシステムを持つことで撮影した画像を瞬時にナビゲーションに送信し、手術支援を行うことが可能です。

ナビゲーションシステム

 手術中のナビゲーションとなるKick EM、Kickシステム(Brainlab社)は、頭部、顔面、脊椎・骨関節仕様の3台で構成されます。術中に得られたリアルタイムのCT画像情報を3次元構築し、病変のより詳細な位置の同定や危険部位の認識を支援します。さらに術前の画像情報と統合し融合画像を作成し、治療の正確性をさらに高めることが可能となります。また、磁場式ナビゲーションでは、さらに複雑な領域での手術支援が可能です。

移動型CT手術支援システムで可能な疾患および治療法

 移動型CT手術支援システムでは、次のような疾患に対する治療が可能となります。

下垂体腺腫(脳神経外科・耳鼻咽喉科)

 下垂体腺腫は、下垂体にできる良性の腫瘍です。原発性の脳腫瘍の中で、3番目に多い腫瘍です。手術治療には、経蝶形骨洞手術といって、鼻の奥から摘出する方法と、開頭手術で摘出する方法とがあり、腫瘍の大きさや形状で使い分けます。鼻の奥から摘出する場合は、内視鏡を用いて手術を行います。鼻の奥での操作であり、腫瘍摘出程度や腫瘍周囲状態を十分に確認するのが難しい場合がありますが、移動型CT手術支援システムを用いることで、適切なアプローチ、確実な腫瘍摘出が可能となります。

頭蓋底病変、脊椎病変など(脳神経外科・整形外科)

 頭蓋底病変、脊椎病変では、骨情報を確認しながら手術を行う必要があります。移動型CT手術支援システムは、骨切除、骨固定を正確に行う場合に非常に有用です。とくに、頭蓋底、脊髄の病変に対する手術では、患者さんの負担を軽減するために創部を小さくする傾向にあり、肉眼的に確認できる範囲が狭くなります。移動型CT手術支援システムでは、リアルタイムに病変部とその周辺の構造物を確認できるため、安全に十分な治療を行うことが可能となります。

頭頸部腫瘍・感覚器疾患(耳鼻咽喉科)

 頭頸部腫瘍は、顔面頭蓋から頸部に生じた腫瘍です。この領域には頸部、口腔、咽頭、喉頭、耳側頭骨、鼻副鼻腔などが含まれるため、頭頸部腫瘍の治療では、腫瘍の根治性とともに、聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚などの感覚と、呼吸、発声、嚥下などの機能を保つことが重要となります。頭頸部の深い部分に生じた腫瘍の治療では、これらを両立させることは容易ではありませんが、移動型CT手術支援システムで腫瘍の範囲を確認し、ナビゲーションシステムにより手術で触っている部位を確認することで、機能を温存しつつ十分な根治性を保った手術が可能となります。また人工内耳挿入術や鼓室形成術など、手術が機能的な回復をもたらす手術において、手術中にその正確性を判断して機能回復の程度を予想することが出来ます。

骨・関節病変、手指病変(整形外科・形成外科)

 骨・関節病変、手指病変の手術では、骨・関節に対して、正確な手術操作が必要です。手術操作を加えている骨・関節の状況を術中に確認することで、精細な治療効果と合併症の回避につながります。移動型CT手術支援システムを用いた手術では、骨・関節、手指の状況をリアルタイムに、かつ詳細で解剖学的な情報によって支援されることで、これまで困難とされた手術に取り組むことが可能となります。

診療体制について

 医学部附属病院では、各診療科の医師、看護師、臨床工学技士、診療放射線技師で構成される医療体制の強化により、各診療科に関わるような悪性腫瘍疾患などの治療をチームで担当し、より安全な治療を患者さんに提供できる体制が確立しています。

移動型CT撮像装置

鼓室形成の移動型CT画像

上肢肘関節部の移動型CT画像


医学部附属病院で国内で初めて製造された移動型CT手術支援システムの稼働を開始しました。(2015年4月8日)
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