地盤・杭基礎の地震被害モニタリング技術検証のための振動台実験の結果がまとまりました。(2015年12月24日)

公開日

中島正愛 防災研究所教授が研究代表者を務める「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト-都市機能の維持・回復のための調査・研究-(文部科学省委託事業)」において、実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を活用した、地盤・杭基礎の地震被害モニタリング技術検証のための振動台実験(2015年10月19日から21日)を、同研究所 林和宏研究員が、大成建設株式会社、国立研究開発法人防災科学技術研究所との共同研究として実施、その結果がまとまりました。

研究者からのコメント

本プロジェクトは、2011年に発生した東日本大震災の教訓を踏まえ、都市の基盤をなす施設(建物)の地震直後の健全度(損傷レベル)を、すぐさま評価するシステムの開発をめざしています。今回の実験では、目視できない地盤や地中の杭を評価対象とし、我々が開発したシステムが、その損傷を適切にモニタリングできることを実証しました。今後は、開発システムの実用化(社会実装)に向けて、一層の改良と信頼性向上に努め、我が国がめざすべきレジリエントな防災・減災機能の強化に貢献したいと思います。

概要

大地震発生後の地盤・基礎構造・ライフラインの健全度判断は、建物の機能維持・回復のために不可欠です。しかし、これらは地中に埋もれているため健全度を把握するのに多くの時間と費用を要します。そこで、本研究では、地盤・基礎構造・ライフラインの健全度を即時判断するためのモニタリングシステムの開発を進めてきました。今回の実験では、振動台の加振レベルを段階的に大きくすることにより、建物を支える杭の損傷を徐々に進展させ、その損傷状況をモニタリングしました。さらに、モニタリングシステムによる健全度の判定結果と実際の損傷状況を照合することにより、システムの妥当性を検証しています。

今回のE-ディフェンス実験において、地盤・杭の健全性モニタリングシステムを適用することにより、地震後の杭の傾きを即時に検知することができました。また、杭の残留ひずみを光ファイバにより比較的短時間で評価することも可能となりました。

モニタリングシステムの概要

詳しい研究内容について

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