エチオピアにおける道路災害の低減に向け、共同研究協定を締結しました。(2018年9月6日)

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エチオピアでは道路が整備されていないために、アクセスが困難な農村地域が多くあります。その原因の一つが、アフリカ大陸に広く分布する膨張性粘性土です。この問題土は雨季に泥濘化し、乾季には隆起するため、その上に道路を敷設しても、通行性の障害や構造物への損害を頻繁に起こします。このような「道路災害」は、社会経済活動を妨げ、その被害額は地震や洪水などの自然災害よりも大きく、世界中で年間数百億ドルにもなると言われています。

工学研究科では、エチオピアにおける道路災害の低減に向け、在来植物を原料とした土質改良剤の開発し、農村部における対策手法を構築する研究事業が新たに立ち上げられました。本事業は、国際協力機構(JICA)および科学技術振興機構(JST)の支援による地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「エチオピア特殊土地盤上道路災害低減に向けた植物由来の土壌改質剤の開発と運用モデル」として実施されます。国内からは本学の工学研究科およびアフリカ地域研究資料センター、宮崎大学、愛媛大学、名古屋工業大学が参画し、エチオピアのアディスアベバ科学技術大学(AASTU)、ジンカ大学、エチオピア道路公社とともに2019年度から共同研究を5年間行う予定です。

研究代表者である木村亮 工学研究科教授は、このたびエチオピアで調査候補地を視察し、AASTUと共同研究協定を締結しました。木村教授は、福林良典 宮崎大学准教授ともに、土のうを用いた道路復旧手法を多くの発展途上国で普及してきました。エチオピアでは既にAASTUの研究者と協同し、土のうを用いた道路整備を試験的に実施しています。本事業では、同国でも発展が遅れている南部諸民族州の農村部を対象とし、現地で入手できる植物を利用したセルロース系土質改質剤を開発することを目指します。また、同州で長年研究を続けてきた重田眞義 アフリカ地域研究資料センター教授および金子守恵 同准教授も協力し、新しい土質改質剤を用いた農道の試験施工を地域の行政・コミュニティーと連携しながら行う予定です。

9月6日にAASTUで開催された共同研究協定の調印式には、Nurelegne Tefera 同大学長に加え、Gebre Yntiso Deko ジンカ大学長も参加しました。両学長とも、同国内で比較的新しい2大学がSATREPS採択事業に参画する意義を強調し、共同研究を通じて人材育成や実験技術の習得を期待したいと述べました。木村教授も、「本事業が成功するには、国際開発事業でよく言われるPDCA(Plan, Design, Check, Action)ではなく、QMPI(Question, Mission, Passion, Innovation)が必要だ」と述べ、両国の研究者が使命感と情熱を共有してこそ、課題解決へのイノベーションが起こると力説しました。

現地視察に赴く木村教授と福林准教授

土のうで整備されたAASTU近郊の道路

調査候補地である南部諸民族州の農村

共同研究協定調印式の様子