ELCAS受講生らが第64回日本生態学会大会にて最優秀賞を受賞しました。(2017年3月18日)

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本学が推進する「科学体系と創造性がクロスする知的卓越人材育成プログラム(略称ELCAS)」の専修コース受講生が、早稲田大学早稲田キャンパス(東京都新宿区)において開催された、「第64回日本生態学会大会」高校生ポスター発表に参加し、最優秀賞を受賞しました。

高校生ポスター発表会「みんなのジュニア生態学」は、生態学に関連する諸分野の研究者や学生との交流を通して、生態学全般への関心を高めることを目的とし、生態学の社会への普及のため、日本生態学会によるアウトリーチ活動の一環として企画・実施されています。2016年度は51件の発表からELCAS受講生の2名が最優秀賞を受賞しました。

発表演題および発表者等

【発表演題】
適応する卵: シロアリの卵の種間比較から見る卵の防衛戦略の進化

【発表者】
谷野彩奈(大阪府立三国丘高等学校、ELCAS受講生)、北田大志(大阪星光学院高等学校、ELCAS受講生)、前田崇彰(京都大学農学研究科)、藤田忠英(京都大学農学研究科)、松浦健二(京都大学農学研究科)

【指導教員】
松浦健二(京都大学農学研究科教授[応用生物科学専攻  昆虫生態学研究室])

【研究内容】
生物の卵は自ら移動することができないため、外傷や乾燥、病気などの脅威に対抗するための防衛戦略を備えている。アリ・ハチ、シロアリのような社会性昆虫では、ワーカーが卵の世話をして防衛を補助しているが、世話の度合いは種によって大きく異なる。特に、シロアリでは種によって卵の置かれる環境やワーカーによる保護の度合いが異なるが、それらの違いによって卵の形質はどのように変わるのだろうか。本研究では、さまざまなシロアリの卵の形質を比較することにより、卵の物理的防御と化学的防御にはそれぞれの種の生活様式に対応したトレードオフがあることが明らかになった。卵のサイズは、卵の世話の度合いが高い種ほど小さい傾向があり、卵のサイズと硬さには有意な正の相関があった。卵の乾燥耐性は、乾燥した木材に営巣する種において特に高かった。また、卵の重量当たりの抗菌物質リゾチームの量は、巣内に大量の卵を保有する高等シロアリにおいて高いことが分かった。これらの結果は、社会性昆虫の生活様式の進化に伴って卵の形質もそれぞれの環境に適応するよう進化したことを示唆する。

探求成果を発表する受講生

聴講者からの質問に答える受講生

最優秀賞の賞状

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