京都大学フィールド科学教育研究センター 助成講座「海域陸域統合管理学」(日本財団助成金)の設立記念面談 挨拶 (2008年11月27日)

第25代総長 松本 紘

 本日は、日本財団のご支援で設立されました京都大学フィールド科学教育研究センター助成講座「海域陸域統合管理学」の設立記念式典にお招きをいただき、大変ありがとうございます。

 京都大学は日本財団から、2005年度より、フィールド科学教育研究センターが開講しております全学共通科目「海域陸域統合管理学」「森里海連環学」「森里海連環学実習」にご支援を賜っておりますが、今般さらなるご支援の拡大により、助成講座が設立されたことにつきまして、京都大学を代表して心から御礼申し上げます。

 世界でも有数の排他的経済水域を保有する我が国にとって、海洋にかかわる研究と教育が極めて重要であることは言うまでもありませんが、この問題に対し国家をあげて取り組む枠組みとして、海洋基本法が日本財団のイニシアチブで制定されたこと、またこれをきっかけとして、海洋基本計画が策定されたことなど、日本財団のこれまでの活動は、京都大学の海洋関係者からも高く評されているところです。またさらに、近年では人材育成にも世界中で活発に取り組まれておられます。京都大学でも国際的な人材育成に従来から積極的に取り組んでおり、今回の助成講座の設立をきっかけとして、今後もご支援をいただいてこのような人材育成を行っていければ幸いに思います。

 排他的経済水域は、国がその管理を実施する責任を負っておりますが、適切な海洋管理を行うためには、分野横断的な教育を実施し、文系理系の枠にとらわれない多角的な知識と発想とを兼ね備えた人材を多数育成してゆくことが必須であります。日本財団の支援を受けて、京都大学においてフィールド科学教育研究センターが実施している、海域陸域統合管理論や森里海連環学の講義と実習は、まさにそのような人材を育成しようとしているものであり、今後両者の連携がさらに発展してゆくことを期待しております。

 今後の発展形としては、助成講座のさらなる拡充、海洋管理に関連する学内での教育研究の高度化のみならず、フィールドワーク、国際学会の開催、留学生の受け入れ、大学院生・若手研究者の海外留学・海外渡航など様々な形が考えられると思います。特に人材育成には時間がかかるものです。今後とも、長期的なご支援を賜ることができますよう希望いたしまして、本日のご挨拶とさせていただきます。