清水展 東南アジア地域研究研究所教授が日本学士院賞を受賞(2017年3月13日)

 このたび、清水展 東南アジア地域研究研究所教授が、第107回(平成29年)日本学士院賞を受賞することになりました。日本学士院賞は、学術上特に優れた研究業績に対して贈られるもので、日本の学術賞としては最も権威ある賞です。

清水展 東南アジア地域研究研究所教授

 清水展 東南アジア地域研究研究所教授は、昭和51年3月東京大学大学院社会学研究科修士課程を修了、同年10月アテネオ・デ・マニラ大学フィリピン文化研究所客員研究員に採用され、54年6月東京大学教養学部助手、55年4月東京大学東洋文化研究所助手、同60年4月州大学教養部助教授を経て、同62年2月に社会学博士の学位を取得、その後、平成6年3月北京外国語大学・北京日本学研究中心客員教授、平成6年7月九州大学大学院比較社会文化研究院教授を経て、同18年10月より京都大学東南アジア研究所教授に就任、同22年4月~26年3月まで京都大学東南アジア研究所所長を務めました。

 今回の日本学士院賞の受賞題目は「草の根グローバリゼーション —世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略」です。清水教授は文化(社会)人類学の専攻で、1977年以来長年にわたってフィリピンにおいて調査研究に従事してきました。本書「草の根グローバリゼーション -世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略」(京都大学学術出版会、2013年1月)は、その到達点の成果を示すものであるといえます。調査対象はルソン島北部山地の僻村の先住民族イフガオのハパオ村とその隣接地域です。この村では、ここ20年ほどのあいだに、外からのグローバリゼーションの波がおしよせています。村人たちはその波に対峙し、積極的に自らの文化を守りつつ、生活を向上させるために、新たなる方途を求め奮闘しています。本書はそうした現場をつぶさに考察しています。清水教授がこの村を実態調査に選んだのは1998年ですが、その契機となったのは旧知の親しい二人の友人、本村出身の植林運動のリーダーであるロペス・ナウヤックと、彼を中心にして30年に渡る映像記録を作成したキッドラット・タヒミックの存在でした。この二人の話と、映像記録によってこの村の過去の推移をも克明に知ることができ、全体として深みのある調査研究となっています。加えて本村がアジア太平洋戦争の末期に山下将軍率いる日本軍の主力部隊が最後にたてこもった歴史と記憶や、隣接地域ならびに全体社会との敵対や友好交易関係にも触れており、総合的な民族誌としてすぐれた労作です。

 なお、清水教授は、第11回日本文化人類学会賞を「草の根グローバリゼーション」にて授与されています。