安部浩 人間・環境学研究科教授が2017年度フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞を受賞しました。(2017年6月21日)

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安部教授

安部浩(あべひろし) 人間・環境学研究科教授が、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団より、2017年度フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞を受賞しました。

同賞は、学術交流促進のため、1979年より毎年、日独の文化と社会の相互理解促進に貢献のあった日本人科学者にドイツ連邦共和国大統領から直接授与されます。ドイツにおける日本人研究者を対象とする最も権威のある賞とされ、今年で39回目となります。

本学からの受賞は第1回の沼正作 博士から数えて7人目となります。式典は2017年6月29日(木曜日)、フンボルト財団の年次総会において、ベルリンの連邦大統領官邸であるベルビュー宮殿で行われる予定です。

安部教授のコメント

ジーボルト賞受賞という身に余る栄誉に浴することは、師友同僚各位の御嚮導、学生諸氏の御厚誼なくしては、およそありえませんでした。この場をお借りして、謹んで多謝申し上げる次第です。私は哲学を専攻しており、目下の研究分野は、1. 現象学と日本思想、2. 環境哲学、3. 論理学と存在論であります。その第一・第二領域における研究の一環として、私はドイツ人の僚友二名と国際的・学際的研究グループ「Nature Time Responsibility (=NTR)」を結成し、地球環境問題を多文化的観点から原理的に考察する同名の会議を二回開催しました。それにより私共三名は、このたびアレクサンダー・フォン・フンボルト財団から「Humboldt Alumni Award for Innovative Networking Initiative」という賞を共同で受賞することになりました。本賞とジーボルト賞の受賞時期が重なりましたことは偶然の一致にすぎませんが、個人研究に加え、NTRの共同研究を同時に御評価頂きましたことを私と致しましては大変有難く存じております。ご承知の通り、本学の哲学研究はその今日までの発展において、ドイツとは因縁浅からぬものがあります。京都学派の先蹤に思いを致し、輝かしき歴史を有する日独学術交流のさらなる促進にいささかなりとも寄与すべく、今後とも及ばずながら精励致す所存にございます。

主な経歴

昭和46年7月生。平成11年5月、京都大学大学院人間・環境学研究科(人間・環境学専攻)博士後期課程を修了、京都大学博士(人間・環境学)。京都大学助手、総合地球環境学研究所助手、京都大学助教授・准教授を経て、平成28年4月より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。平成23年4月より平成24年7月まで、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学研究員。前述のNTRの他、ドイツ研究振興協会(DFG)の助成による共同研究「シェリングにおける人間の自由の哲学」(ミュンヘン大学哲学科主宰)や国際出版プロジェクト「ハンス・ヨーナス・ハンドブック」(ジーゲン大学哲学科主宰)などに参画している関係からドイツで仕事をする機会も多い。

受賞理由

今回の受賞は安部教授の環境哲学に対するこれまでの研究、特にアジアと西洋の環境哲学を架橋する業績を評価されたものです。また、ハイデガーに根差した将来世代への責任に関する実存論的分析も受賞理由の一つです。学術業績に加え、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団からの支援による訪独などドイツの研究者との盛んな共同研究活動や教育活動も評価され受賞に至りました。

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