第52回玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会「トポロジーとカオス-隠れた構造を探す-」

第52回玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会「トポロジーとカオス-隠れた構造を探す-」

玉城教授記念学術講演会について

 玉城嘉十郎先生は、1886年のお生まれで、京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さでご他界されましたが、その門下からは新しい分野を拓く数多くの物理学者が輩出されました。

 ご他界後30年にあたり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄附をいただきました。

 そこで、先生を記念して毎年1回ないし2回、公開の学術講演会を開くことにしました。

 その第1回は1969年秋、大学紛争のさなか、湯川秀樹先生、朝永振一郎先生を講師に招き、開催されました。以後44年、回を重ねること、52回に達しています。

 講演のテーマは、必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものを、と心がけて選出しています。

 この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生の参加も多く、またもとより公開ですので、熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しています。

日時

2013年11月25日(月曜日)15時00分~17時15分

場所

益川ホール(北部総合教育研究棟 1階)

プログラム

「トポロジーと基本群」

小島定吉 東京工業大学情報理工学研究科教授
講演概要:およそ120年前にポアンカレが創始したトポロジーは、図形の連続的な変形で変わらない量や性質に注目する幾何学である。トポロジーの研究において各種の代数系は当初から重要な役割を担っていた。基本群はその一つで、10数年前に解決されたポアンカレ予想にも登場する。基本群は図形の普遍被覆(展開図)の対称性を記述するが、一般には非可換でたいへん複雑であり、トポロジーに現れる代数系の中では長い間ミステリアスな存在だった。しかし約30年前にグロモフが双曲群論を展開したころから状況が好転し、とくに3次元トポロジーおよびリー群の離散部分群論を手本に各種の技法が整備され、今日では既存の理論の模倣を大きく超えた幾何学的群論とよぶ分野が形成されている。本講演では、3次元トポロジーへのフィードバックを例にとり、幾何学的群論の魅力と可能性を話したい。

「力学系に現れるカオスとフラクタル」

宍倉光広 京都大学理学研究科教授
講演概要:力学系とは様々な対象の時間発展を記述する数学的モデルである。一旦数学的にモデルが構成されれば、そこで起きる現象は数学的現象であると考えられる。ただし、微分方程式などによりモデルが記述されたからといって、その性質がすぐに数学的に解明できるとは限らない。特に、1970年代からコンピュータの発展により、容易に数値シミュレーションができるようになり、それによって、非常に簡単な力学系であっても驚くほど複雑で予測不可能な振る舞いをすることがわかってきた。このような現象は「カオス」と呼ばれている。講演では、いくつかの具体例を中心に、この「カオス」という現象と、それに付随する空間的構造である「フラクタル」について解説する。

対象

学部生・大学院生・教員・一般

申し込み

不要

聴講料

無料

参考URL

http://cr.sci.kyoto-u.ac.jp

問い合わせ先

〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
理学研究科 社会交流室
FAX: 075-753-3645
E-Mail: mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)

主催

理学部・湯川記念財団