平成25年度 霊長類研究所「霊長類学フォーラム」

平成25年度 霊長類研究所「霊長類学フォーラム」

 霊長類学の最新成果をわかりやすくお届けするために、2013年度から新たに「霊長類学フォーラム」をおこないます。従来、東京公開講座として開催してきたものの精神を受け継ぎ、よそおいを一新しました。講演時間を短くし、実物を体験するコーナーや、講師と直接やりとりする時間を多く設けました。

 ご来場をお待ちしています。

タイトル

「人間の進化: こころ、からだ、くらし、ゲノム」
Human Evolution: Mind, Body, Life, and Genome

日時

2013年9月23日(月曜日) 13時30分~16時30分 (開場:13時00分)

場所

日本科学未来館 7階 みらいCANホール (所在地:東京都江東区青海2-3-6)

主催

霊長類研究所

申し込み

事前の申し込みは不要です。

参加費

無料

定員

先着300名

対象

どなたでも参加になれます。

参加方法

当日、先着順で整理券を発行します。整理券をもって自由に着席してください。定員に達しましたら受付を閉め切ります。あしからずご了承ください。

プログラム

スケジュール

13時00分 開場および実物体験展示と解説
13時30分-14時00分 講演1
こころ:比較認知科学の視点から 松沢 哲郎
講演内容
「人間とは何か」、それが知りたくてチンパンジーの研究をしています。日本の研究所で調べると、人間よりすぐれた瞬間記憶の能力のあることがわかりました。アフリカの森では、一組の石をハンマーと台にして、硬い種をたたき割って食べることもわかりました。子どもは、親やおとなのようすを見てまねようとします。「まねる」ことが「まなぶ」ことなのでしょう。意外かもしれませんが、チンパンジーはヒトのようにじょうずにまねることができません。「まねる」ために必要なのは、想像するちからです。想像するちからが、人間らしい心を生み出したといえるでしょう。
14時00分-14時30分 講演2
からだ:形態学の視点から 濱田 穣 教授
講演内容
ニホンザルとそのなかまのサル類を「マカク」と呼びます。マカクは、アフリカで約800万年前に起源し、約550万年前にアジアに渡来してそこで進化しました。ヒトは、チンパンジーとの共通祖先から分かれて、約600万年前からアフリカで進化しました。ほぼ同じ期間が経過した現在、マカクは20種いますが、ヒトは1種です。からだの特徴からみると、マカクは基本形に近いかたちをたもっていて保守的ですが、ヒトはいちじるしく変化していき革新的だといえます。こうしたヒトとマカクの進化パターンの違いと、それをうみだした原因について考えます。
14時30分-15時00分 休憩および実物体験展示と解説
15時00分-15時30分 講演3
くらし:生態学の視点から 湯本 貴和 教授
講演内容
人類の生まれ故郷であるアフリカの熱帯林で、類人猿やゾウの研究をしてきました。アフリカの森には、日本の森ではみられないような、大きくて堅い果実や種子があります。植物は動物に果実を食べてもらい、種子を飲み込んで排泄してもらうことで世代の更新をしています。ゾウや類人猿は、からだが大きく、広い範囲を移動するので、遠くまで種子をはこんでくれます。植物にとってだいじなパートナーなのです。またアフリカの森は、熱帯林にしては樹高が低く、場所によっては水分をふんだんに含んだ草がたくさん生えています。類人猿の住む森の研究から、ヒトが誕生した環境を考えます。
15時30分-16時00分 講演4
ゲノム:染色体研究の視点から 平井 啓久 教授
講演内容
染色体の変化と生物の進化、その関係を研究しています。いろいろな生物の染色体を解析してきました。ヒトとチンパンジーは染色体の数がちがいます。それぞれ23対46本と、24対48本です。じつは、チンパンジーの12番と13番の染色体が融合して、ヒトの2番染色体ができました。染色体は、さまざまな条件で変化します。身体のいろいろなところで変化します。病気の原因にもなります。そして、新しい特徴を作ることもあります。それぞれの種の特徴であるこうした染色体の変化は、優れた変化として世代を超えて受け継がれてきたものです。染色体を通してみえてきたヒトとチンパンジーの違いを考えます。
16時00分-16時30分 質疑および実物体験展示と解説

展示

なお、日本科学未来館の常設展示「人間」をぜひご覧ください。
新しい試みとして、「実物体験展示」をします。
チンパンジーが取り組んでいる記憶テストの体験、野生チンパンジーの石器、サル類の骨格標本、熱帯林の樹木や果実や、染色体についてもご覧ください。

 また関連図書も用意してあります。手にとってご覧ください。

ホームページ

詳細はホームページでご覧ください。
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/official/tokyo2013/index.html

お問い合せ

霊長類研究所
E-mail: tokyo2013*mail2.adm.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)