京都大学広報誌
京都大学広報誌『紅萠』

ホーム > 紅萠 > 学生・卒業生紹介

輝け!京大スピリット

2026年秋号

輝け! 京大スピリット

集結したのは「学問に熱中するマニアたち」。
合成生物学の土俵で、アイデアをかたちに

iGEM Kyoto
チームリーダー 新田紗也さん(農学部2回生、写真右)
Wetリーダー 西坂勇星さん(薬学部2回生、写真左)

毎週金曜日の午後7時、医生物学研究所の地下会議室にフレッシュな空気が吹き込む。集うのは、研究チーム「iGEM Kyoto」の部員たち。学部1~2回生が中心のこの団体は、パリで年に1度開かれる合成生物学の国際大会「iGEM Grand Jamboree」出場に活動の主眼を置く。遺伝子や生体分子の仕組みを活かした社会に役立つシステムを開発し、その研究成果を発表する大舞台だ。2025年度大会では、5大会連続の金賞受賞を遂げた。

実験の様子 研究テーマをもとに実験計画を立て、指導教員の北畠真先生(医生物学研究所・助教)の研究室を拠点に実験遂行。先輩からのアドバイスや、専門分野の教授への直談判など、ときには研究室の外に出て突破口を模索する

この春、新たに加わったのは2回生4名、1回生15名の計19名。「積極的な新歓のかいあって、熱意あふれる新入部員がたくさん集まった」と、安堵の笑顔を見せるのはチームリーダーの新田紗也さん。

世界に挑むテーマとして新田さんが掲げたのは、玄米の外皮・米ぬか。米ぬかや米ぬかを活用したこめ油は、栄養分が豊富で健康や美容分野で注目される一方、米ぬかは酸敗しやすく、有効性は十分に活かされていない。「多くが廃棄の運命にあるけれど、米ぬかにはまだまだ秘められた可能性があるんです」。4時間以上におよぶ議論のすえ、食しょく物もつ残ざん渣さに焦点をあてた農学部ならではのアイデアが光り採用された。

軸を据えたあとは、現地調査から社会課題を吸い上げる「Human Practice」、数値予測やアルゴリズムをもちいて最適なモデリングを導き出す「Dry」などのチームに分かれて、多才なメンバーが力を発揮する。なかでも実験チーム「Wet」は、組み立てた理論を解析や実験を通して一つひとつ丁寧に証明する、いわば土台固めを担う。Wetリーダーの西坂勇星さんは、「答えも道筋も決まっていない。どうやったらゴールに近づけるのかを模索する工程が楽しい」と、前回大会を振り返る。夏休み中は実験漬けの日々が待ち受けるというが、ゴールを見据える瞳はきらきらと輝く。

出前授業の様子
   
出前授業の様子

地域団体からの依頼で出前授業に赴くことも。体験型の授業で趣向を凝らす

iGEM Kyotoをひとことで表すと、「学問に熱中するマニアたち」。四六時中研究のことを考えている物好きの集まりだと、二人は笑う。部員たちのあふれる熱量を取りこぼさず、私たちらしくプロジェクトを完走したいと語る。「意見がぶつかることもあるけれど、人としてぶつかりあうわけではない。講義の枠をこえた貴重な経験だからこそ、議論までをも楽しまなければ意味がない」。iGEM Kyotoが受け継ぐのは金賞のバトンだけではなく、ゴールにたどり着くまでの過程を楽しむその姿勢なのかもしれない。

学生・卒業生紹介

関連リンク

関連タグ