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類似性に敏感な人は日常生活でのデジャビュ経験頻度が高い

2013年12月26日

 楠見孝 教育学研究科教授、杉森絵里子 早稲田大学高等研究所助教(元 本学教育学研究科)の研究グループが、デジャビュ(既視感)の個人差について検討しました。デジャビュは、過去の出来事と類似した出来事に直面した場合に起こるのではないかという先行研究の示唆から、類似性に敏感な人とデジャビュの関係について検討した結果、これらの二つは大きく相関することが明らかになりました。

 本成果は、2013年12月3日(英国時間)に、ヨーロッパ認知心理学会誌「Journal of Cognitive Psychology」の電子版に掲載されました。

背景

 実際は一度も体験したことがないと分かってはいるものの、どこかで体験したことのように感じてしまうことを「デジャビュ(既視感)」といいます。先行研究では、実際に今体験している出来事(シーン)が、以前体験した場面と形態的に類似している場合、かつ、その以前体験した場面についての詳しい情報が思い出せない場合に、デジャビュを体験しやすいのではないかと示唆されてきました(類似性仮説)。本研究ではこの類似性仮説について検証するため、「個人差」に着目し、形態的類似性に敏感な人とデジャビュ体験の頻度の関係を、44名の大学生に参加してもらい、質問紙と実験によって検討しました。

研究手法とその成果

質問紙法

  • 日常生活におけるデジャビュ体験の頻度
    「この1年でどの程度デジャビュを体験したか」ということを7件法(1:1度も体験しなかった、2:1度か2度、3:3度か4度、4:1ヶ月に1度、5:1週間に1度、6:少なくとも1週間に2度、7:毎日)で回答してもらいました。
  • 日常生活における形態的類似性の敏感度
    「音楽・写真・映画・物語に触れたとき、過去に体験した似た出来事を思い出す経験をするか否か」について5件法(1:まったく自分にはあてはまらない、2:あまり自分にはあてはまらない、3:どちらともいえない、4:比較的自分にあてはまる、5:たしかに自分にあてはまる)で回答してもらいました。
  • 実験室における形態的類似性の敏感度
    図1に示すように、形態的に類似した二つの画像を30セット、1セットずつ呈示し、どの程度類似していると感じるかについて5件法(1:まったく似ていない、2:あまり似ていない、3:どちらともいえない、4:どちらかというと似ている、5:とても似ている)で回答してもらいました。


図:類似した画像セットの例

実験

  • 学習段階
    まずは60の画像を一つ一つ呈示しました。そのうちの30の画像は、後の記憶課題に、残りの30の画像は親しみ評定課題に用いました。
  • 記憶課題
    30画像のうち、10画像は学習段階で用いた画像と全く同じ画像、10画像は学習段階で用いた画像と似た形態の画像、10画像は学習段階で用いた画像と全く異なる画像を一つ一つ呈示し、学習段階で呈示されたものか否かについてたずねました。
  • 親しみ評定課題
    30画像のうち、10画像は学習段階で用いた画像と全く同じ画像、10画像は学習段階で用いた画像と似た形態の画像、10画像は学習段階で用いた画像と全く異なる画像を一つ一つ呈示し、学習段階で出てきたか否かは関係なく、それぞれの画像にどの程度親しみを覚えるかについて5件法でたずねました。

結果

1.「日常生活における形態的類似性の敏感度」と「実験室における形態的類似性の敏感度」の間に高い相関が見られました。また、2.「日常生活におけるデジャビュ体験の頻度」と相関があったのは、「日常生活における形態的類似性の敏感度」「実験室における形態的類似性の敏感度」「親しみ評定課題における形態類似画像に対する評定値」の三つでした。このことから、(a)日常生活において類似性に敏感な人は、実験室において画像を呈示された際にも類似性に敏感であること、(b)デジャビュ経験の頻度が高い人は類似性に敏感であること、(c)デジャビュ経験の頻度が高い人は類似した画像を見たときに親しみを感じやすいことが明らかになりました。

書誌情報

[DOI] http://dx.doi.org/10.1080/20445911.2013.854248

[KURENAIアクセスURL] http://hdl.handle.net/2433/180078

Eriko Sugimoria and Takashi Kusumi
"The similarity hypothesis of déjà vu: On the relationship between frequency of real-life déjà vu experiences and sensitivity to configural resemblance"
Journal of Cognitive Psychology Volume 26, Issue 1 pp.48-57
Published online: 26 Nov 2013

 

  • 日刊工業新聞(1月7日 17面)に掲載されました。