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京都大学広報誌『紅萠』

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2020年春号

第37号編集後記

今や私たちの生活に不可欠なものとなった、リチウムイオン電池。この素晴らしいテクノロジーが生まれる背景には、ワクワクするような探究と模索の物語がある。そして、私たちの世界はグローバルにつながり合っている。電池はモバイル機器の爆発的普及を可能にしたと共に、原料のコバルトを産出するアフリカの社会にも大きな影響を与えた。ノーベル賞を受賞するような最先端技術を開発することも、土器の製作を通してエチオピアの社会を研究することも、学問としては同じように価値がある。分野や対象が違っても、知的探究としては共通のスピリットが根底にある。知識の世界もまた、つながり合っているのである。

京都大学を形成する学問知の広大な風景を、本誌の編集を通して実感できるのは楽しい。これを書いている3月初旬は、新型コロナ騒動の真っ最中。これもまたグローバルにつながり合った世界の一側面か。刊行される頃には少しでも落ち着いていることを祈る。

2020年3月
広報委員会『紅萠』編集専門部会

編集後記

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