新たなハイパー原子核「グザイ・テトラバリオン」の存在を予言 -グザイ粒子の振る舞いを精密計算で解き明かす-

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佐々木健志 基礎物理学研究所特定研究員、 肥山詠美子 理化学研究所 室長(九州大学教授)、土井琢身 同専任研究員、初田哲男 同プログラムディレクターらの研究グループは、グザイ粒子1個と核子3個からなる新たなハイパー原子核(ハイパー核)「グザイ・テトラバリオン」の存在を理論的に予言しました。

通常の原子核は核子というバリオンから構成されていますが、グザイ(Ξ)粒子と核子からなるハイパー核については、どのような種類のものが存在するかほとんど分かっていませんでした。今回、本研究グループは、クォークの基礎理論「量子色力学(QCD)」に基づき、グザイ粒子と核子の間に働く力をスーパーコンピュータ「京」などを用いて明らかにしました。さらに、得られた力をもとに量子少数多体系の精密計算を行うことで、グザイ粒子1個と核子3個の計4個のバリオンからなる新たなハイパー核「グザイ・テトラバリオン」の存在を予言しました。

本研究成果は、どのようなハイパー核が存在しうるのかという物理学の根源的問題の解明につながるとともに、中性子星内部のような超高密度極限状態における物質構造の解明に貢献すると期待できます。

本研究成果は、2020年3月5日に、国際学術誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究のイメージ図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.124.092501

E. Hiyama, K. Sasaki, T. Miyamoto, T. Doi, T. Hatsuda, Y. Yamamoto, and Th. A. Rijken (2020). Possible Lightest Ξ Hypernucleus with Modern ΞN Interactions. Physical Review Letters, 124(9):092501.

  • 日刊工業新聞(3月6日 29面)に掲載されました。