遺伝情報を長期保存できる昆虫標本の作製方法を新たに開発 -「遺伝資源」としての昆虫標本を次世代に-

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井鷺裕司 農学研究科教授、 中濵直之 兵庫県立大学講師(兼・兵庫県立人と自然の博物館研究員) 、伊藤元己 東京大学教授らの研究グループは、遺伝情報の維持が難しかった昆虫の乾燥標本について、遺伝情報の劣化を防ぐ作製手法を新たに開発しました。

昆虫の乾燥標本は、通常作製から数カ月ほどでDNAが劣化することから、これまでDNAを用いた解析は非常に困難でした。本研究では、昆虫の乾燥標本に0.2mlチューブとプロピレングリコールを用いて長期間遺伝情報を保持できる手法を開発しました。本手法は、安価かつ入手の容易な材料で、簡単に作製できることから、今後本手法が昆虫愛好家や各博物館などで実施されることが期待されます。

本手法により遺伝情報が保存された昆虫標本が多数作製されることで、将来的に昆虫標本に遺伝資源としての新たな価値を付与することができます。

本研究成果は、2019年12月24日に、国際学術誌「European Journal of Entomology」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.14411/eje.2019.050

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/245245

Naoyuki NAKAHAMA, Yuji ISAGI, Motomi ITO (2019). Methods for retaining well-preserved DNA with dried specimens of insects. European Journal of Entomology, 116, 486-491.