研究成果

超精密な金属製中性子集束ミラーの開発に成功 -多様な中性子ビーム集束デバイスの普及に期待-


2019年09月25日


     日野正裕 複合原子力科学研究所准教授、細畠拓也 理化学研究所研究員、山形豊 同チームリーダー、山田悟史 高エネルギー加速器研究機構助教らの研究グループは、金型用の超精密加工技術と金属多層膜の成膜技術を融合させることで、金属材料のみで構成される中性子集束ミラーの開発に成功しました。

     中性子集束ミラーを実現するためには、精密な曲面基板の上に「中性子スーパーミラー」と呼ばれる金属多層膜を成膜する必要があり、その基板には0.1ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)級の滑らかさが求められます。しかし、従来はガラスやシリコンといった硬く脆い材料が採用されていたため、大型化や複雑形状への対応が困難でした。

     今回、本研究グループは、レンズ金型用の無電解ニッケルリンメッキを用いることによって、金属材料のみで基板を製作する方法を確立し、実用化に十分な約0.1 mm幅の集束ビームを実現しました。この中性子集束ミラーは、耐放射線性の高い金属材料のみで構成されており、従来は困難であった大強度中性子源近傍でも利用可能です。また、金属は多種多様な形状に加工できるため、より複雑で高機能なミラーの開発につながります。具体的には、ナノ構造の空間的な分布を高分解能で捉えるマッピング計測や、顕微法を利用したイメージングまで、さまざまな測定への応用が考えられます。

     本研究成果は、低速中性子ビームの輸送および集束手法を大きく変え、中性子ビーム利用の発展に大きく貢献すると期待されます。

     本研究成果は、2019年9月10日に、国際学術誌「Optics Express」のオンライン版に掲載されました。

     

    図:金型の加工技術と多層膜の成膜技術の融合による金属製の中性子集束ミラー

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】https://doi.org/10.1364/OE.27.026807

    Takuya Hosobata, Norifumi L. Yamada, Masahiro Hino, Hisao Yoshinaga, Fumiya Nemoto, Koichiro Hori, Toshihide Kawai, Yutaka Yamagata, Masahiro Takeda, and Shin Takeda (2019). Elliptic neutron-focusing supermirror for illuminating small samples in neutron reflectometry. Optics Express, 27(19), 26807-26820.


    超精密な金属製中性子集束ミラーの開発に成功 -多様な中性子ビーム集束デバイスの普及に期待-
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