負の屈折率温度係数を示す新しい半導体を発見 -ハロゲン化金属ペロブスカイトを用いた光学温度補償に成功-

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金光義彦 化学研究所 教授、半田岳人 同博士課程学生、田原弘量 同助教、阿波連知子 同研究員らの研究グループは、ハロゲン化金属ペロブスカイトCH 3 NH 3 PbCl 3 が、温度上昇とともに屈折率が大きく減少する、新しい負の屈折率温度係数を持つ物質であることを発見しました。

本研究によって明らかになった CH 3 NH 3 PbCl 3 が示す負の屈折率温度係数は 、実用半導体が通常示す正の屈折率温度係数と逆の傾向です。多くの半導体デバイスにおいて、温度によって光学特性が変化するという問題が生じてしまうのですが、本研究グループは CH 3 NH 3 PbCl 3 が示す逆の特性を利用することにより、この問題の解決に利用できることを示しました。通常の「正」の依存性を持つ半導体と今回発見した「負」の依存性を持つペロブスカイト材料を合わせることで、光学特性の温度変化を打ち消すことに成功しました。

CH 3 NH 3 PbCl 3 は透明かつ、溶液法で高品質な試料を作製可能であるため、幅広い光技術への応用展開が期待されます。

本研究成果は、2019年7月20日に、国際学術誌「Science Advances」のオンライン版に掲載されました。

図:溶液法で作製したCH 3 NH 3 PbCl 3 単結晶の写真

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1126/sciadv.aax0786

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/243168

Taketo Handa, Hirokazu Tahara, Tomoko Aharen and Yoshihiko Kanemitsu (2019). Large negative thermo-optic coefficients of a lead halide perovskite. Science Advances, 5(7):eaax0786.